GAOがFCSの実現性を警告

2008.3.13



 military.comによると、政府説明責任局(The Government Accountability Office)が、米陸軍の未来型戦闘システム(Future Combat Systems)に関して、深刻な予算不足に直面し、将来の実現可能性に疑問があると警告しました。

 政府説明責任局の報告によると、2009年はスケジュールと予算の「重要な分岐点」として取り上げ、計画は初期の進歩としては見合ったものだけども、開発スケジュールと予算の半分を遙かに下回っています。追加の予算と日程が必要になると見込まれます。主要な技術は未熟で、補足的な技術も追いついていません。ネットワークとソフトウェアの問題は非常に悲観的です。すでに5年間を費やしていますが、まだ見込みが立っていないのです。

 ネットワークとソフトウェアは、おそらくFCSの目玉である、戦闘情報を収集、分析し、指揮官や兵士の目の前に、敵味方の位置を示すシステムのことでしょう。「エイリアン2」に登場するような未来の戦闘システムです。最初にこの構想を知った時は、「こんなものが作れるのか」と思いました。そして、畏怖も感じました。

 これが実現すれば、相手が偵察活動を行っている内に米軍は戦闘方針をまとめあげ、実行に移せます。従来のように、安全を確保しつつ偵察隊を前進させる必要はなくて、上空にいる無人偵察機や小型ヘリコプター型や車両型の無人機によって情報を集め、それらが自動的に指揮官の目の前のスクリーンに表示されるのです。情報の収集と分析、作戦立案は職人的な作業で、これらを支援する装置があればどんなに助かるか図り知れません。また、情報は兵士たちが共有でき、無駄な攻撃を控え、より有効な攻撃に力を集中できるという利点があります。自走榴弾砲はたった2人で動かせ、無人機の情報を使い、視認していない敵に対して砲弾を撃ち込みます。

 そして案の定、肝心のソフトウェア部分が困難に陥っているようです。これが完成しないのではFCSも意味はありません。どの辺が問題なのかは、もちろん記事に書かれていません。

 FCSがどんなものかを見たければ、上記の米陸軍へのサイトにアクセスし、デモビデオを見てください。

Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.