米軍のメンタルヘルス報告書が公表

2008.3.8



 military.comによると、退役軍人のホームレスが減っています。2006年に195,827人とされたホームレスの退役軍人は、現在、154,000人に減っています。

 復員軍人援護局のホームレス・プログラムに参加している退役軍人の約45%が精神的な問題を抱えており、4分の3が薬物中毒で、これらの両方を持っている者は35%います。数が減ったとはいえ、楽観視はできない状況にあります。

 別の記事によると、昨日、紹介した米兵の精神病の問題について論じた報告書が公表されました。昨年秋に調査されたこの報告書では数多くの問題が指摘され、結論として、民間の精神科医を戦地に派遣すべきだと推奨しています。主なポイントが記事に書かれていますが、極めて興味深い内容です。兵士に与えられる負荷によって、どのような状況が生まれるのかを、これらの数字から読み取れます。内容を簡単に紹介します。

    • 3、4回目の派遣を経験した兵士の27%以上が不安神経症、憂鬱症、PTSDにかかっています。初回の派遣では、この数字は半数以下の12%です。
    • 自殺率はイラクとアフガンの両方で高止まりしています。調査ではアフガンで4件、イラクで34件が自殺と確認または可能性が考えられています。すべてが確認されれば、自殺率は開戦以来、最高となります。
    • 憂鬱症と報告された兵士の数は、イラクでは7.6%ですが、アフガンで11.4%です。
    • 昨年、イラクとアフガンでは最も高い死傷レベルに達しましたが、暴力は開戦5年目のイラクでは減少し、開戦7年目のアフガンでは増加しました。
    • アフガンでのタリバンとアルカイダの戦士との戦いで、83%の兵士が戦闘によるトラウマに曝されています。
    • アフガンの険しい地形に兵士が拡散したり、孤立していることが、メンタルヘルスの治療を受けにくくさせています。
    • イラクにいる約29%の兵士が、メンタルヘルスの専門家を利用することが困難になっています。基地から前哨基地へ移動した兵士で治療を受けられたのは13%に過ぎません。
    • 特別な「戦闘精神(Battlemind)」訓練を受けた兵士は、受けていない兵士ほど問題を抱えません。
    • 2007年に、イラクで生存した兵士の29%が、キャリアを傷つけることを恐れてメンタルヘルスの治療を受けず、前年の34%を下回りました。
    • イラクで生存した兵士の11%が自分の部隊の士気が「高い」または「非常に高い」と答え、前年の7%を上回りました。兵士個人の士気については「高い」または「非常に高い」と答えた者は20.6%で、前年の18.3%を上回りました。
    • 約72%の兵士が誰かが重傷を負ったり、死んだことを知っています。
    • イラクにいる兵士の平均睡眠時間は5.6時間で、最高の能力を発揮するのに必要な睡眠時間を下回っています。将校たちはそれについて無頓着です。
    • アフガンにいる3分の1の兵士は十分な睡眠時間を取れていないことを強く心配しており、約4分の1は昨年、輸送中に眠ったことがあります。17%はメンタルヘルスのための薬物を使っており、それらの半数は睡眠薬です。

 こうした記事を読むたびに、人間のもろさを感じます。アニメのヒーローのように、何の精神的な問題を抱えずに戦いを続けることはできないのです。

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