戦況が不透明なトルコ軍侵攻

2008.2.25



 イラク北部でPKKとトルコ軍の間で激しい戦闘が起こったようです。トルコはPKKのメンバー112人を殺害し、PKKは47人を殺害したと主張しています。トルコ軍のヘリコプターが1機撃墜された模様です。

 turkish-press.comに侵攻の模様が簡単に記述されています。PKKキャンプに対する空爆と砲撃が午前10時と午後6時に行われ、地上軍の侵攻は午後7時に始まりました。毎度のことですが、トルコ軍が情報を抑えているのか、戦況に関する情報は僅かです。トルコ政府はこの攻撃は限定的なものだと主張しています。BBCニュースでは、PKKは一部が戦闘しているが、その他はイラク国内に後退していると報じています。これは常識的に妥当な作戦です。全面的な戦闘を避け、損害を抑えれば、トルコ軍はイラク領内にあまり入り込めないという条件の下では負けることはないからです。ヘリコプターが撃墜されたのも、地上軍との銃撃戦を避けながら戦果をあげるPKKの戦術によるものと思われます。

 ワシントン・ポストによると、あるPKK指揮官が、クルドのゲリラは7,000人や10,000人ではなく、何十万人もおり、彼らはトルコ国内にいると述べました。トルコがPKKを破壊するなら、我々はトルコの都市を住めないようにしてやると言うのです。この発言は多分にブラフと考えられますが、トルコ国内でのテロ攻撃は十分に警戒すべきです。それはトルコ国民の士気を下げるために有効と考えられ、PKKがやりたがる戦いだからです。この戦いがそうした展開になるかどうかに注視する必要があります。


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