アフガンの麻薬封じ込めでNATO加盟国が二の足

2008.12.25



 NATO指揮官であるジョン・クラドック大将(Gen. John Craddock)が、最近アフガニスタンを訪問中に、一部のNATO加盟国がアンチドラッグ作戦を実行していないのを知って失望したと述べたと、military.comが報じました。

 NATO加盟国の防衛大臣が、任務の一部として麻薬業者を攻撃すると合意したにも関わらず、いくつかの加盟国はそれを実施していませんでした。ドイツ、イタリア、ポーランド、スペインなどの加盟国は、アンチドラッグ作戦を、軍事作戦としてよりも警察活動と考えています。

 この報道はニューヨークタイムスに載った記事を元にしています。それによれば、国連はアフガンの武装勢力は年間1億ドルを麻薬取引で得ていると見積もっていますが、別のいくつかの見積もりは、この5倍もの数字をあげています。こうして得られた利益を、武装勢力は武器の購入などに使います。そこで、麻薬取引のルートを断つのが、アフガン作戦を成功させる鍵ということになるのですが、NATO加盟国の足並みが揃っていないのです。それは、軍人が非戦闘員を殺せば、それが麻薬取引に関わる者であっても訴訟に発展する恐れがあるためです。

 こんな基本的なことの理解がなされていなかったことが驚きです。米軍とNATOが主導するISAFについては、以前から活動について疑問を感じてきました。各国が集まって総花的な活動を繰りひろげているだけで、タリバンやアルカイダを掃討するための決定打とは成り得ないと見てきました。その一方で、民間人の犠牲者を数多く出してきました。日本政府はISAFを支援していればテロ問題は解決すると国民と説得してきましたが、とても信じられません。長いこと、アフガンで活動してきて、未だにこのレベルなのは、根本的にテロ問題への取り組み方に問題があるのだと思います。植民地解放戦争のテロを経験したのはヨーロッパ諸国のはずですが、アメリカが同時多発テロで変心してからは、アメリカにお付き合いしてしまい、過去の教訓を忘れてしまったようです。今の世界には、当事者としての立場にはまり込みすぎた国しかなく、また、どの国も当事者になりたがっているように見えます。一歩退いて、冷静な立場から発言する国も必要なのに、そういう役割を担う国はありません。私は、これは非常にまずい状況だと思っています。

 別のmilitary.comの記事は、第82空挺師団の空輸部隊である第82戦闘航空旅団(2,800人)が、来春アフガンへ派遣されることが決まったと報じています。この部隊はヘリコプター多数を保有しています。これは増派部隊がヴァルダク州とローガル州に配備されるので、ヘルマンド州のイギリス軍とカンダハル州のカナダ軍を支援するために空路を活用する必要があるためでしょう。米軍は準備を整えていますが、足並みが揃わないのでは、成果は期待できません。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.