パキスタン運転手が輸送業務を拒否

2008.12.17
同日 13:40修正



 最近、タリバンの襲撃が行われたパキスタンからアフガニスタンへカイバル峠を通る輸送ルートで働くトラック運転手が、運送業務を拒否しているとmilitary.comが報じました。

 最近、数十台のハンヴィーを含む車両が破壊され、数名の兵士が死亡した、ペシャワール付近で起きたタリバンの襲撃について、西側軍当局者は大きな危険はないと主張しています。カイバル輸送連合(Khyber Transport Union)のシャキルラー・アフリディ(Shakirullah Afridi)は、3,500台の燃料、食糧などの補給品を運ぶトラックとトレーラーを扱っていますが、メンバー全員が業務を拒否していると述べました。警備が改善される見込みはなく、アフガンに駐留するNATO主導の連合軍もボイコットの影響は小さいと述べています。

 非常に興味深い記事です。本当に3,500台の車両が動いていないのなら、輸送業務に何らかの影響があるはずです。NATOは重大な問題が大きな話にならないように、避けているのかも知れません。この数字も、さらに別角度から検証され、補給業務の実態が明らかにされなければなりません。これから米軍が増員されれば、補給物資の量はもっと増えます。すでにそのための輸送と備蓄が始まっているかも知れません。そう考えると、この問題は軽視できません。しかし、この手の記事は詳細が書かれていない場合が多く、記事だけでは判断ができない場合がほとんどです。この記事も何日間ボイコットが続いているのかなど、詳細が不足しています。できるのは軍の輸送部隊と比較して、事態の深刻さを推測することです。1個師団には輸送大隊1個があり、典型的な中型トラックを持つ輸送大隊は、10トントレーラーをけん引できる5トントラックを200台所有します。ざっとした数字では、17.5個分の師団の輸送部隊が機能しなくなっている計算です。師団の輸送部隊は戦闘地域での輸送を行い、後方地域では民間の業者が輸送を行うことがあります。ここで問題になっているのは後方地域での輸送で、直ちに17.5個師団の補給物資が不足すると考えることはできません。しかし、問題の規模を理解するには、こうした比較が重要です。それはともかくも、このような状況で軍事活動に何の影響もないと言えるでしょうか。問題はボイコットが何日間続くかということです。当面は備蓄した補給物資でやっていけますが、不足の影響が出始めると問題です。

 ところで、ブッシュ大統領がイラク人記者から靴を投げつけられた事件について、続報が出ています。興味のある方はお読みになるとよいでしょう。




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