第5艦隊司令が海賊の地上攻撃を疑問視

2008.12.13



 military.comによると、米第5艦隊指揮官のビル・ガートニー海軍中将(Vice Adm. Bill Gortney)が、米政府が国連安保理に提案している陸上でソマリアの海賊を攻撃するアイデアについて疑問を示しました。

 海賊の基地を攻撃するのは、彼らを識別するのが難しく、無辜の民を殺す危険性が否定できないと、ガートニー中将は述べました。こうしたアイデアは安直で、ソマリア国内の治安維持、安定化、統治を向上させ、海賊たちを逮捕、拘留し、裁判にかけられるように法律を改正することだと、彼は言います。8月以降、発砲したり、スキフを沈没させて海賊の攻撃を阻止した事例が50例ありますが、いずれも犯人たちを解放せざるを得ませんでした。ブッシュ政権の高官は、海賊の攻撃は必ずしも地上攻撃を意味しないと述べています。ガートニー中将は、さらに多くの海運会社が警備員を持つようになっているとも述べています。

 ソマリアで行われた武装勢力の掃討作戦で、多くのソマリア人が犠牲になってきたのは間違いがありません。外国の軍隊、ソマリア暫定政府の軍隊のいずれも、民間人の保護について、あまり配慮せずに軍事行動を行ってきました。今回、米海軍からそうした問題に対する配慮が示されたのは歓迎すべきことです。ブッシュ政権も地上攻撃に固執しているわけではなく、効果がある行動を考えているので、ガートニー中将の発言は政府方針とまったく異なることを言っているのではないと考えられます。


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