米軍の支援でPTSD治療薬が開発中

2008.11.5



 military.comによれば、アメリカが支援しているPTSD用の薬の研究が進んでいます。スイスに本拠を置く製薬会社シノジア社(Synosia)のウェブサイトにもプレスリリースが掲載されました。

 シノジア社は、米国防総省から140万ドルの資金を提供され、イラクとアフガニスタンの帰還兵向けのPTSD用の薬を開発します。交感神経系の亢進状態が続く「過覚醒(hyperarousal)」はPTSDの症状の一つで、不眠症、怒り、引きこもり、などの症状を持ちます。シノジア社は、ネピキャスタット(Nepicastat)という薬が、警戒感が際限なく続くために、危険を判断する能力を失った患者を助けると考えています。ネピキャスタットの有効性と忍容性は来年春に分かる見込みです。

 シノジア社の発表によると、ネピキャスタットは、脳と血中のドーパミンの集中を増やし、動物のノルエピネフリンを減少させます。脳内のドーパミンは、学習に関する活動を促進するので、これが減少すると活動や学習に支障が出ます。これまで、研究において250人以上の人で効果が確認されました。また、この薬は経口薬で、麻薬中毒の治療にも使えるとのことです。

 ネピキャスタットがPTSD用としては初めての薬なのかどうかは不明ですが、その治療によく使われる薬剤はいくつかあります。これまで耳にしてきたPTSDの治療は、従来の精神病の治療方法を応用するだけだったと記憶します。今回のように、PTSDに特化した薬が開発されるようになったのなら、それはPTSDの研究が進んで、治療法が固まりつつあることを示しているのかも知れません。軍がPTSDを病気として認めるまでには、長い年月がかかりましたし、研究の歴史はまだ20年間くらいしかありません。それでも、少しずつ進歩していると考えたいものです。



 ついでに、もう一つ紹介します。military.comによると、米陸軍がSFもどきの研究を続けています。ホログラフィックとコンピュータでバーチャル人間を作り出そうというのです。写実的な外観を持ち、自分自身で考え、感情を持ち、方言で話せるようなバーチャル人間を作るのが目標です。そして、その完成度を試すために、世界中に大勢のプレイヤーがいるオンラインゲーム「World of Warcraft」や「Eve Online」に、彼(彼女かも知れませんが)を参加させる意向です。かつて、チャットに人工知能プログラムを参加させて、その間抜けな会話を楽しんでいる人がいましたが、そういうレベルではないのでしょう。しかし、正直なところ、この計画の内容と意図はよく分かりませんでした。


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