米空軍、核ミサイル発射基地の火災に気づかず

2008.11.1



 military.comによれば、昨年春に無人の地下核ミサイル発射基地で火災が起こり、百万ドルの損失を被っていたにも関わらず、米空軍は5日経つまで気がついていませんでした。

 事件が起きた発射基地は、ワイオミング州シャイアンの西40マイル、デンバー市の100マイル北東にあります。5月23日に発生した火災は、1〜2時間燃え続けたものの、複合的な安全システムが働いて、ミニットマンIIIミサイルが誤って発射されることはありませんでした。事件時に、ミサイルに核弾頭が搭載されていたかどうかは公表されませんでした。

 空軍は5月28日まで火災に気がつきませんでした。それも、回線に問題がある警報信号が出たため、修理チームが出向いて、はじめて気がついたのです。炎はミサイルが設置されている発射チューブの中には入らず、放射線が漏れる恐れはありませんでした。火災の原因は欠陥を持つバッテリー充電器で、発射基地の標準的な警備用の武器である散弾銃とその弾薬の箱、銃を格納する箱を燃やしました。このバッテリー充電器はすでにすべての基地で交換が完了しています。火災による被害額は百万ドルで、損傷した装備の交換と清掃にかかります。公表に時間がかかったのは、調査が困難だったためとする、言い訳じみた空軍の弁解も紹介されています。

 信じられないような事件です。バッテリー充電器が加熱か何かで燃え、その火が散弾銃と弾薬を収めたケースを燃やし、弾薬に引火したのでしょう。散弾銃の弾は、銃に装填して、雷管を爆発させた場合は爆発しますが、単に燃やした場合は、爆発せずに燃えるだけです。火薬は開放された空間で着火すると爆発しない場合が多いのです。それでも、弾薬に火がつけば、火勢を増すことにはなります。損害額には交換するバッテリー充電器すべての費用も含んでいるのでしょうが、百万ドルにはならないでしょうから、施設もかなり損傷したはずです。警報信号が出たことが、それを連想させます。しかし、火災が起きたことが分からなかったということは、地下ミサイル発射基地には火災報知器がないということなのでしょうか。それに、発射チューブが毎日点検されているわけではない点も意外でした。

 最近の核兵器取り扱いと輸出管理のトラブルといい、核兵器に関連するミスが立て続けに起きています。1980年代にも、米ソ両国で核兵器に関するトラブルが連続したことがあります。特に根拠はないものの、また、そういう時期に入っているのかという気がしました。


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