英軍指揮官が「アフガンで勝利を期待するな」

2008.10.7



 spacewar.comによると、アフガニスタンのイギリス軍最高指揮官が、サンデータイムスとのインタビューで、アフガンでは決定的な軍事的勝利を期待すべきではなく、武装勢力を管理できるレベルにまで低減するに過ぎないと述べました。

 2度目のアフガン遠征を終えたばかりの第16空中強襲旅団のマーク・カールトン・スミス准将(Brigadier Mark Carleton-Smith)は、さらに、イギリス人はタリバンとの協定が結ばれる可能性を考えておくべきだと述べました。「我々はこの戦争で勝利に向かっていない。戦略的な脅威にならない、アフガン軍が対処できる、管理が可能なレベルに低減するだけだ」と、彼は述べました。スミス准将は、タリバンからトゲを抜き去ったとは言いましたが、多国籍軍がアフガンから武装勢力を除去するのは非現実的で、おそらく信じがたいことだと述べました。タリバンが交渉のテーブルに着くのなら、それは進歩だとも述べました。

 日本政府はアフガンでテロとの戦いを続ければ、タリバンやアルカイダがいなくなって、アフガン政府に貢献できるのだと説明し続けています。だから、洋上給油は重要なのだと言い続けています。しかし、イギリス軍はすでにサジを投げているようです。麻生内閣は臨時国会で新テロ法案を可決したいとしていますが、その論戦がどんなものになるのか注目すべきです。スミス准将の認識と国会の認識が、どれほどずれているかに注目したいと思います。与党はアフガン戦がどんな形で終わると予測し、そのために何をすべきかといった根本的な質問には答えてきませんでした。アメリカの要請に添うことだけが目的だから、そんなことはどうでもよいし、真面目に議論すると矛盾が露呈してしまうからです。戦争を行う理由が太平洋戦争並みにグチャグチャなのは困ったものです。こういうやり方は将来的に、日本によい結果をもたらしません。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.