越境攻撃に、イラクとパキスタンが抗議

2008.10.30



 military.comによれば、パキスタン政府が米軍の無人偵察攻撃機によるアフガン国境付近での空爆について、米大使アニー・ペターソン(Anne Patterson)に強く抗議しました。また、別の記事はシリア領内で行われた攻撃に対して、イラクが警告を発したと報じています。

 この攻撃はパキスタン領内にいたアルカイダの上級指揮官2人を殺害しましたが、7年来のパキスタンとアメリカの協力関係を悪化させています。この種の空爆は、攻撃対象の居場所を提供した情報源を保護する為もあって、アメリカは詳細を公表しません。だから、パキスタンは現地での調査結果を基に、空爆が行われたと判断し、その都度、米軍に即刻中止するよう求めてきました。しかし、アメリカにとっては、これがほとんど唯一のアルカイダへの攻撃手段であるため、止めるわけにはいきません。パキスタンも無人機を撃墜する手段がないため、苛立ちを募らせています。米軍の空爆を止めさせないと、国内に対してパキスタン政府は面子が保てないのです。

 イラク政府はシリア領内のスカリヤ(Sukkariyeh)で米軍の特殊部隊がアルカイダ幹部アブ・ガディヤ(Abu Ghadiyah)を殺害したとする軍事活動を行った件で、現在協議中のアメリカとの安保協定には、イラクの隣国を攻撃するために、イラク領内の米軍を用いないことを含んでいると警告しました。イラク政府の広報官アリ・アルダバグ(Ali al-Dabbagh)は、米軍が一方的にイラクの隣国を攻撃したら、安保協定の無効を宣言する権利を欲すると述べました。

 この攻撃がイラク領内から行われたかどうかは公表されていないはずです。特殊部隊の作戦も、通常、軍内部でも一部の者しか知らされません。しかし、ヘリコプターによる空襲でしたから、イラク領内から出発した可能性は十分にあります。これも無人機の場合と同様に、イラク政府には何も知らされないという点が問題なのです。自国の隣国との関係を悪化させるような事件を、米軍が勝手に起こしてもらっては困ると、イラク政府が考えるのは当然です。

 別の記事が、軍事企業のレイセオン社が、潜水艦から無人機を発進させることを計画中だと報じています。すべての国と基地協定を結ぶことはできませんから、無人機の発進はあらゆる手段で行えるようにしたいわけです。現在、無人機の発着はおそらくペルシャ湾内の空母から行われているはずです。


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