米空軍が無人機パイロットの増員を計画

2008.10.24



 military.comによると、米空軍は無人機のパイロットを大量に養成し、2011年9月末までに、24時間態勢でイラクとアフガニスタンの上空を飛ぶ無人機の数を、現在の30機から50機にする計画です。

 これまで無人機の操縦は、実機のパイロットが行っていました。しかし、彼らに必要な肉体的なトレーニングは無人機のパイロットには必要がありません。そこで、無人機のパイロット養成コースを実機のパイロットの養成コースとは別に設けることになったのです。米空軍は2つの訓練プログラムを始動し、パイロットから養成するコースでは、2人のパイロットが無人機の訓練計画に送り込まれたところです。4〜6週間の追加訓練で、彼らは無人機に関するすべてを学ぶことになっています。今後3年間で計画は拡張され、年間100人が養成できるようになります。パイロットではない者は、4〜6年の経験を持つ空軍大尉を対象に、9ヶ月間の訓練が行われます。最初の10人の訓練は1月5日にスタートし、次の10人が4月にスタートする予定です。

 単に無人機を飛ばすだけなら、それほど難しくはありません。かつて、私は航空自衛隊のF-15パイロットから、こう言われました。「パソコンのフライトシミュレーターを確実に飛ばせる人なら、本物のセスナ機を操縦できます。ゲームのフライトシミュレーターの着陸は実機と比べて難しすぎます。ゲームだから、わざと難しくしているのでしょう」と。同時多発テロ事件で、テロリストがジェット旅客機を操縦してビルに突っ込んだのは、すでに飛んだ飛行機を操縦するのは、それほど難しくないためです。離着陸はともかく、飛行中の航空機を操縦して、ビルに衝突させるのは、ある程度の経験を積めば可能です。現に、国防総省を狙った者は、本来の目標であるホワイトハウスを見つけられず、国防総省に狙いを変えたものの、建物に直接突っ込むのに失敗し、手前の駐車場に墜落させるに留まりました。世界貿易センタービルに突っ込んだ者も、旅客機とは思えないほどのバンク角を取り、機体を大きく傾けていました。プロなら、もっと狭い幅の滑走路に、機体を水平に保ったまま侵入できるわけですから、ビルに突っ込んだからと言って、腕前がよいとは言えません。

 下手をすると、ゲームに慣れている若者の方が、頭の固い空軍大尉よりも上手に無人機を飛ばすかも知れません。それでも、ゲームマニアに無人機を操縦させられないのは、それがとても高価だからです。しかし、操縦がもっと簡単な無人機が作られたら、話は変わります。ステルス機はパイロットの操縦をコンピュータが解析し、機体を墜落させるような操作はキャンセルされることになっています。ステルス機は機体の形状が限定され、飛行が不安定なので、こうした機能が持たされています。これを無人機に応用すれば、無理な操縦をキャンセルし、誰にでも短期間で操縦できるようになる無人機が作れるかも知れません。

 時々、私はこんなSF小説を想像します。「ゲームマスター」と呼ばれる青白い顔の若者が、屈強な戦闘部隊の兵士から嫌われながらも、無人の戦闘マシンを操る物語を。そんな未来がごく近いところまで来ています。


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