グルジア:ロシア軍が停戦違反と主張

2008.10.17



 space-war.comによると、ロシア軍がアブハジアが統治するチュブルキニ村(Chuburkhinji)からグルジアのルキ村(Rukhi)にある警察署に向けてロケット弾を発射しましたが、被害はありませんでした。

 アブハジア側はこの事件を否定しています。これとは別に、現地時間の12時30分に、ロシア軍のMI-8ヘリコプターがクロミ峡谷(Khromi gorge)からグルジア空域に侵入しました。ヘリコプターはグルジアのメジブリスヘビ村(Mejvriskhevi)にある交番の上で数回旋回し、アカルゴリ地区(Akhalgori district)へ戻っていきました。

 事件の現場の位置を確認したかったのですが、メジブリスヘビ村の位置がGoogle Earthで特定できただけでした(kmzファイルはこちら)。メジブリスヘビ村は、首都トビリシの北西約70kmにあります。ロキ村も、アブハジアからそう遠くない場所だろうと思われます。

 グルジアがこの事件を公にしたのはジュネーブで行われた停戦会議の最中だったということです。多分、事件は会議の直前に起きたのでしょう。ロシアが停戦会議を妨害したくて行ったのでしょうが、その規模は小さなものでした。

 警察署を攻撃したのは夜間で、意識して人がいない時を狙っています。この攻撃はグルジア軍がやった可能性もありますが、そうならアブハジア側が否定するだけで済ませるはずはありません。どちらの事件も、グルジア側に反撃を起こさせ、再び戦争に持ち込むにしては、規模が小さすぎ、会議を混乱させる程度の効果しかありません。前回のように、重迫撃砲の斉射でないと、本格的な戦争にはなりません。ロケット弾は複数発射されたようですが、正確な数は記事には書かれていません。昔ながらの方法ですが、ロシアが会議から完全に撤退することはないでしょう。落としどころを探っていると見た方がよさそうです。とりあえず、次回の会合の日程は決まりました。それまでに、どんな交渉が行われるかが気になります。


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