カルザイ大統領がサウジ国王に和平を依頼

2008.10.1



 military.comによると、アフガニスタンのハミド・カルザイ大統領(President Hamid Karzai)は、アフガンの内戦を終わらせるために、サウジアラビア国王にタリバンとの和平交渉を促進する援助を依頼していると述べました。

 カルザイ大統領は、この依頼を2年前から続けてきました。今のところは要請だけで、交渉には至っていないということです。アフガン高官は内紛を終結させるべく、サウジアラビアとパキスタンの両方に出向いています。この発言は、ラマダン明けの祭イード・アル・フィトル(Eid-al Fitr)に合わせてなされました。だから、祭に花を添えて、国民に期待を持たせる程度の意味合いだと考えられます。

 記事には他にも色々書かれていますが、要するに、サウジ国王は何も応えていないようです。カルザイ大統領は、依頼を公開することでサウジ国王に圧力をかけようともしているのでしょう。2年間も手紙を送り続けて返事がないのでは、見込みは薄いというべきかも知れません。

 賄賂を取るアフガン政府に比べ、タリバンは賄賂を渡さなくても犯罪者を捕まえます。アフガン国民は政府よりもタリバンを頼りにしています。日本でも江戸時代には与力は武家から公然と金子をもらい、事件が起きた時に手心を加えて処理したといいます。これを賄賂ではないという人もいますが、実質的には賄賂です。最近、この悪癖が教育界に残っていることが明らかになりましたが、アフガンにも似たようなものが、より強烈な形で存在します。アフガンにはタリバンを必要とする条件が揃っています。これが解決されないと、タリバンは消滅しないでしょう。日本はアフガン政府を支援していますが、それがタリバンを生む原因にもなっています。こうした矛盾に誰かが目を向けるべきですが、日本では外国との交渉はすべて外務省が行います。外務省はアフガン政府としか話をしません。政府同士の交渉では、タリバンを生む原因は解消しがたい理由があるわけです。


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