測量衛星「だいち」は精度不足

2008.1.30



 spacemart.comが日本の人工衛星「だいち」の問題点を報じました。この人工衛星は、2万5千分の1の基本図を作るために開発されましたが、今月9日に国内メディアがこの問題を報じていましたが、今回、海外のニュースサイトでも報じられました。

 2年前に打ち上げられた地図作製のための測量衛星「だいち」は、あまりにも映像が不鮮明で地図の作製のためには使えず、新しいハイウェー、ショッピングモール、埋め立て地のような、大きな変更を調べる時に使えるだけで、失望を生んだと国土地理院が認めました。人工衛星の映像は航空写真と併用される予定でしたが、地上での測量が必要な性能しかないのです。

 この問題は改善できると文部科学省は考えていますが、そのことは記事には書かれていません。しかし、記事を読む限り、軍事用に使うのは難しそうです。地図を作れないのだから、大船団の位置が分かる程度で、集結した地上部隊を解析するのは無理です。軍事目的も含んでいた「だいち」の運用はつまずいてしまいました。

 以前から、日本の人工衛星はなにかと問題を起こすことが多く、実用に至っていない部分があります。島国である日本は、周辺国の脅威を知るために、軍事基地などの定点観測を行う必要があるはずです。その能力は下手な武器よりはよほど力になるはずです。部隊配備の変更や部隊の集結などを事前に察知し、これらをその他の情報の分析結果と合わせて総合的な判断をくだすのです。こうした能力を戦争を避ける方向に利用できれば、これに優れるものはありません。しかし、この分野に対する政府の熱意が聞こえてくることは少なく、技術者の自己満足の世界に陥っているような感すらあります。秘密が多い分野でもあり、外から実力を推し量るのは困難です。しかし、レベルはあまり高いものではなさそうです。

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