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ミャンマーでの邦人殺害事件について

2007.9.28



 ミャンマーのデモを取材していた日本人ジャーナリスト長井健司氏が射殺されました。不幸中の幸いで、長井氏が接近した兵士によって1メートルくらいの距離から撃たれたところを撮影した映像をテレビ局が入手しており、意図的な殺害であったことが分かっています。在ミャンマー日本大使館は、軍事政権に長井さんの遺体の冷凍保存を要請したと言いますが、軍政当局は27日夜にヤンゴン総合病院で長井さんの遺体を司法解剖してしまったといいます。なぜ、日本大使館の意向が曲げられたのかは記事には書かれていません。

 この解剖が科学的な見地から行われればよいのですが、政権側が医師に圧力をかけて重要な証拠を散逸させる可能性もあります。日本大使館は強硬に解剖は日本で行うと主張すべきでした。高村正彦外務大臣が、そう大使館に指示し、ミャンマー大使を外務省に呼んで、遺体に触るなと直接言うべきだったと思います。ミャンマーは一義的な捜査権はミャンマーにあると主張するはずですが、それでも意図的に無理難題を押しつけるべきでした。そうすることで、日本政府がこの事件に高い関心を持っていることをミャンマーに認識させ、司法解剖に圧力が加えられないようにできたのです。

 私は、ミャンマーに少しでも圧力をかけるために、次のような抗議文を考え、英語に翻訳して在日ミャンマー大使館に電子メールで送りました。「ミャンマー政府は大衆や僧侶を殺害することで大変な誤りを犯した。さらに、日本人ジャーナリストが死亡したことで、日本人はミャンマー政府を信頼するのを止めた。報道によれば、その日本人の死は偶発的なものではなく、暗殺であった疑いが高い。ミャンマーは国際的な立場を失った。軍事政権は直ちに退陣すべきだ。政権はミャンマーの民主化によって、国際的な信頼を取り戻すべきだ。」(僧侶の殺害は現段階では、十分に確認されていませんが、あえてそう書いています)

 毎度のことですが、日本政府の動きが遅いのが理解できません。在外邦人を自衛隊機を送って守れと言う議論は盛んですが、肝心の日々起こる事件への対処は信じられないほど疎かです。そうした議論は、単に自衛隊を海外に送りたいという動機からだけなされているように思えます。

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