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イラン国境警備は未だ不完全

2007.9.25



 military.comがイラク国境の警備状況に関する記事を報じました。

 マーク・ミューラー大佐はイラクからの密輸入者が通ると想定されている道路で、イラクの国境警備隊員に質問をしました。「君が受け取ることになっていた標識はどこにあるんだ?」。国境警備隊員はドライバーに検問所を知らせる3つの標識を懐中電灯で指し示しました。標識は砂漠の砂の上に横たわっていました。ミューラー大佐は「どうして標識を立てないんだ。地面に杭を打ち込まなければダメだ」と言いました。すると警備隊員は「シャベルがないのです」。この辺では万事この調子だといいます。

 イラン・イラク国境は900マイルもあり、ミューラー大佐は90マイル幅のワジ州(Wasit)を担当しています。グルジア共和国は先月、ここに2,000人の兵隊を支援のために送りました。米軍はイランから4マイルのところに基地を建設し、グルジア兵100人のと66人の米兵を収容する予定です。11月までに、500万ドルをかけて、住居や電気、インターネットを完備した基地を建設します。基地が完成すると、クート(Kut)から危険を冒して50マイルを通勤しなくてすむようになります。さらに、コンクリート掩蔽で、水や電気の設備はない検問所を、17〜22カ所作る予定です。

 それでも、彼らはコンピュータシステムや生体認証システム、X線撮影装置などを持っており、人や荷物を調査しては国境を通しています。毎日およそ350〜400台のトラックが処理されています。

 同紙の別の記事には、イランが地対空ミサイルを密輸入した事件が報じられています。赤外線誘導のイラン製地対空ミサイル「Misagh1」の他、携帯型ロケット砲RPG-29、240mmロケット弾、EFPなどが押収されています。記事には、先日イラクの革命防衛隊員が逮捕された件で、マリキ首相が、逮捕された男はマフムーディーヤ・ファハディ(Mahmudi Farhadi)と確認され、イラクに公式に招待されていた人物だと確認したと述べ、米軍を非難しています。確かに、一緒に捕まった人たちの身分と考え合わせると、誤認逮捕の恐れは十分にあると思います。イラク政府が本人の身分を確認したのなら、問題はないのかも知れません。タラバニ大統領も容疑者を釈放するよう求めています。さらに、コレラの流行を防ぐために必要な塩素100,000トンがヨルダン国境で立ち往生しているようです。塩素を満載したタンクローリーが盗まれ、テロ事件に使われるのを恐れているのです。タンクローリーを市街に持ち込み、タンクを爆薬で爆破することで塩素が流出し、化学兵器代わりに使われる事件が何件も起きています。しかし、塩素は消毒に不可欠な化学物質です。

 対立が起きている場所では、このように物資や人の移動が制限されるのですが、その難しさを実感させる記事です。この記事を読んだ感じでは、未だに十分な国境警備はできていないようです。イランから武器が運び込まれていることが知られるようになってから、実はこのことを凄く気にしていました。米軍はどういう手を打っているのかと思っていたのです。まだ、基地や検問所が完成していないとは、のんびりしすぎです。あるいは、治安維持活動で人手が回らない状態なのかも知れません。だとすれば、イラクの軍事活動は本末転倒な状態になっているとしか言いようがありません。イラクからの武器密輸は去年の段階から言われていたはずです。

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