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政府批判の米軍下士官2名がテロに倒る

2007.9.14



 military.comによると、月曜日にイラクのバグダッドでIEDで戦死した7人の空挺隊員の内4人の身元が確認されました。その中にはニューヨーク・タイムズにイラク政策を批判する意見「The War as We Saw It」を書くのを支援したヤンス・T・グレイ二等軍曹(Staff Sgt. Yance T. Gray)、オマー・モラ三等軍曹(Sgt. Omar Mora)が含まれていました。トラックに乗っていた残りの10人は負傷し、3人が危篤状態にいます。グレイ二等軍曹とモラ三等軍曹が書いたと思われる文が記事に引用されています。(記事への直接のリンクでは上手く表示されません。同紙のトップページで記事のタイトルをキーワードにして検索すると該当ページを表示できます)

 過去、望まない歓迎を生き残った占領軍をもって、アメリカ人が御しがたい地域住民を納得させ、この対武装勢力活動に成功するとは、まず信じられません。結局、我々は、我々のプレゼンスはイラク人を専制君主の支配から解放したけども、彼らの自尊心を奪いもしたことを認めなければ成りません。彼らはすぐに、威厳を取り戻す最良の方法は、我々を実態通りに「占領軍」と呼び、撤退の強要を求めることだと悟るでしょう。

 グレイ二等軍曹はアフガニスタンに次いでイラクへ派遣されており、モラ三等軍曹はイラクで二度目の任務に就いていました。この事件のIEDの仕掛け方は巧妙です。IEDは高架道に仕掛けられ、米兵が乗った5トントラックのタイヤが吹き飛ばされて高架道から転落し、30フィート(約9m)以上下にある道路に激突しました。

 ペトラエス大将の報告と下士官たちの見解がかくも違うと言うことに注目して欲しいと思います。過去、軍の内部でイラク統治は無理だという報告書が出されたことがありましたが、なぜか2007年の春になって、急速に治安が回復したという報道が増えてきました。ところが、ペトラエス大将の報告では、治安の回復は極めて限られた範囲でしかありませんでした。まったく不思議なことと言わざるを得ません。多分、軍の内部でもペトラエス大将に対する批判は大きいと思われます。こんな状態では、イラク統治など「夢のまた夢」と言えるでしょう。

 その一方で、米上院の委員会が、軍人の給与を3.5%昇給させるために1億1,800万ドルの予算を認め、さらなる出費に対して一歩前進したとmilitary.comが報じました。軍人たちの不満をなだめるための昇給です。日本円で100億円以上にあたる数字です。これだけなら軍事費として巨額とは言えないかもしれませんが、他にも車両をIED対応にするなど、細々とした費用がかさんでおり、アメリカの経済を圧迫しています。アメリカが日本の洋上給油にこだわるのも当然かも知れません。

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