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62回目の終戦記念日

2007.8.15



 主観的な評価ですが、今年の終戦関係の番組は若干物足りないと感じました。今夜、NHKが「日本の、これから」を放送するようです。一応、見ようかと思いますが、この番組はいつも面白くないので、途中で止めるかも知れません。なぜ、小林よしのりのような、筋違いの軍事論を持論とするゲストを呼んで発言させるのかも分かりません。

 毎年感じることですが、新聞・テレビは終戦関係の記事でいつも戦争体験者の話を取り上げます。しかし、いずれ戦争体験を語る人たちはいなくなります。そうなったら何を載せるつもりなのでしょうか。それを考えると、私はいつも暗澹とした気分になります。戦争を体験していない世代には「自分は戦争に行ったことがないから」という、戦争体験者に対する遠慮があります。これではいずれ国民の大半が戦争という問題を敬遠するようになり、それに乗じて自衛隊を普通の軍隊にしようとする政策が通ってしまうのではないかと心配になります。そうなると消極的な反論論者は日本の軍国化に賛成したも同じです。

 戦後、日本には国家戦略が存在しませんでした。かと言って戦前が万全だったとも思えないのですが、警察予備隊発足後、与党は防衛を担当する部署に予算を手当てすることしかやってきませんでした。いつしかそれが当たり前になりました。私がこの問題に関心を持ち始めた頃、とにかく不思議だったのは、防衛政策に関して納得がいく合理的な説明を聞くことが少なかったのです。そのため、それが一般的な防衛論というものかと誤解したことすらありました。それが間違いだと分かったのは、海外の軍隊について勉強してからでした。いつしかこの誤解は世間にも定着し、いまや一般の人たちまでが「うろ覚えの防衛論」を口にするようになりました。竹島とか北方領土問題など、ちょっとした紛争ごとにも「自衛隊を使ったら」と言う人を見かけるようになったのです。

 それは政治家についても同じです。小池百合子防衛大臣が「日本のライス長官」と呼ばれ、それをネタにしたジョークを口にしたと報じられています。大した用もないのに、ライス長官に会いに行った小池大臣に期待するものは何もありません。何度もこのサイトで書いていますが、ライス長官は安全保障問題の専門家でありながら、専門家として大統領に助言するのを避け、評判を落とした人です。ライス長官は外交問題に疎いブッシュ大統領のために、彼の父親があてがった「御用学者」なのです。ブッシュ家から睨まれないことだけを気にして、祖国の国益を考えない「某国の閣僚」と言えます。ライス長官を日本のマスコミは「鉄の女」などと呼びますが、それは元祖「鉄の女」であるマーガレット・サッチャー氏に失礼というものです。小池大臣がそんなライス長官に例えられて喜んでいると聞けば、とても信頼できないと思います。まして、来る内閣改造で留任して欲しくありません。

 このまま行くと、十年後には軍事的な無知のために日本は大失態をやらかす恐れが高いでしょう。その時には問題点を検証する人すらいないのではないかと危惧します。

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