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国防総省がヒラリー氏を非難

2007.7.20



 ヒラリー氏が5月にイラクからの撤退計画について明らかにするよう国防総省に求めたのに対して、エリック・エーデルマン防衛次官はヒラリー氏が敵の宣伝を手助けしていると批判したとmilitary.comが報じました。エーデルマンの回答の要旨は…

 イラクからの合衆国軍の撤退に関する尚早で公の論議は、我々がベトナム、レバノンとソマリアでやったように、アメリカがイラクで同盟者を見捨てるという敵のプロパガンダを強化します。こうした話は当然ながら、我々が大きな人的危険を求めているイラク人の同盟者を動揺させます。

 エーデルマンの批判はナンセンスで自虐的であり、自国が過去において同盟国を見捨ててきたと公式に認めているようなものです。彼の見解はイラクが一枚岩の国家であることを前提としていますが、イラクが分裂寸前なのは目に見えており、現状と合いません。そもそも、15万人前後の重装備の軍隊を撤退させるのは、100人程度の軍事顧問団が引き揚げるのとは訳が違います。それが大きな議論を呼び起こすのは当然であり、避けられないものでもあるのです。

 危険を避けながら質問に答えることはできます。アメリカを代表する政治家に恥をかかせるような回答を平気でできるのが国防総省の特徴かもしれません。国防総省は政治家に対して、いつも高飛車な答えを返してきたことを思い出せば、この回答を真剣に受け止める必要がないことも分かってきます。エーデルマンの回答はそうした国防総省の体質を改めて思い出させるものです。国防総省はもちろん退却の計画も立てているはずで、命令を受け次第、作戦を退却用へ差し替えられるようになっているはずです。その内容を答えたくないので、こんな答えを返したのでしょう。国防総省はこうした事情を持った難しい組織なのです。これはずっと変わらない国防総省の性質でもあるのです。

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