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「必要ならさらなる増派」とペース大将

2007.7.17



 military.comが、9月のイラク政策の査定の結果、兵力の増加であれ削減であれ、ブッシュ大統領が望む行動をとると、ピーター・ペース大将が述べたと報じました。

 この発言は軍としては当然のことで、さらに増派する計画はすでに立ててあり、大統領にも説明済みのはずです。最大で何人まで動員できて、その場合に費用がどれくらい必要かも説明済みでしょう。現段階では何も決まっていないので、大将は増派の人数などについては言及しませんでした。現在、イラクには158,000人の地上軍がいます。GlobalSecurityでは、イラクに162,000人、戦域内(湾岸諸国)に30,000人となっています。このほかに、民間軍事会社の警備員(実質的には戦闘員)がいるのです。しかし、これらの数字は概算であり、鵜呑みにすべき情報ではありません。それでも、イラクの自由作戦が発動する前に戦域内にいた地上軍は175,000人(GlobalSecurityのデータ)だという事実には驚かざるを得ません。なんと、現在この地域にいる米地上軍は作戦開始前よりも多いのです。いまはサダム・フセインのイラク軍はいないのに、これだけの兵力が必要だというのは異常なことです。

 もともと、米軍に課せられた任務は達成不可能なものです。警察官に市民全員を守れと命じても無理なように、陸軍にある国家の国民を守れといっても無理なのです。陸軍は野戦軍と戦うように作られている組織です。日本人の中にも「自衛隊は国民を守る」という言葉を鵜呑みにしている人がいますが、これは基本的に軍隊というものの認識を誤っています。自衛隊は日本の領域を守ることで国民を守りますが、それを個人警護のようなものと解するのは誤りです。国民の避難は自治体が政府と連携して行うことと国民保護法が定めています。勘違いして、有事に自衛隊に助けを求める人が出る危険性は十分にあります。自衛隊は攻撃対象になることもあり、民間人は有事に近寄るべきではありません。その方が自衛隊も動きがとりやすいことを知っておくべきです。

 ところで、米軍はバグダッド南東地区と35マイル北西のバクバで掃討作戦を行っていましたが、今度はバクダッド市内に掃討対象を移したとの報道があります。攻撃する場所は明らかにされませんでしたが、アンバル州からバグダッドへの武器運搬ルートを潰すためということです。その間にもテロ事件は次々と起きています。9月まで待たなくても、結果は見えています。無人偵察機リーパーが投入されたという報道もありますが、大した足しにはなりません。

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