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コンウェイ大将がマスコミを批判

2007.7.12



 military.comによれば、まもなく公表される予定の中間報告は、イラク政策の進歩は限定的だとしているそうです。これは誰もが予想できる範囲のことです。部分的な成果は完全な成果を予想させ、さらなる努力を触発させるものです。しかし、イラク政策にはまったく見込みがないことは、多くの人が理解している通りです。その一方、米軍の兵器がクルド労働者党に渡り、トルコ軍の攻撃に使われているという報道もあります。記事には武器の種類や数、入手経路は書かれていません。

 別の記事では、米海兵隊のジェームズ・T・コンウェイ大将が、戦いが長引くに連れて抵抗が強力になり、国内の支援が低下したことについて、ベトナム戦争との類似を感じると発言しました。大将は同時に、現代には徴兵制がないことなど相違点も指摘し、メディアがイラクとアフガニスタンの悪いニュースばかり報じることを批判しました。

 コンウェイ大将の発言には、あまり大きな意味はありません。大将はベトナム戦争時よりも今の方が、マスコミの自由度が制限されていることを忘れているようです。ベトナム戦争の頃の方が取材は自由で、戦場で軍が記者を運んだりしました。いまは精々、後方部隊に従軍させるだけです。基本的に、米軍は戦場にマスコミはいるべきではないというスタンスで、バグダッドで取材中に兵士に拘束されたり、暴行された記者は大勢います。それに当時と大きく違うのは、インターネットがあることです。アルカイダはインターネットを使って衝撃的な斬首映像や声明をながし、その効果はテレビメディア以上の成果をあげています。それを忘れてマスコミを批判しても意味は薄いということです。

 大体、ベトナム戦争が引用される時には、いくつかのパターンがあり、その中に戦争に負けた理由をマスコミのせいにするのがあり、コンウェイ大将の発言はその類です。私はイラク侵略はベトナム症候群を甦らせたと思っていますが、戦いを観察する時は共通点を見いだすことはしないようにしています。戦例を参考にするのは大事ですが、過去の教訓を導くことが誤りを誘発することがあるからです。

 ところで、この件に関して日本政府は以前から「イラク復興は進行中」としています。小池百合子防衛大臣も先日そう発言しました。これは驚くべきことです。アメリカではほとんどの人がイラク復興に見込みがないと考えているのに、日本政府は進行中だと言うのです。マスコミもほとんど批判しないし、財界からも心配する声は聞こえてきません。イラク問題に関して、日本人は傍観者を決め込んでいるのです。ひょっとすると、イラク問題は将来の大戦争の起源になるかも知れないことに誰も気がついていないのでしょうか。

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