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エチオピアがソマリア介入は失敗と認める

2007.7.2



 ワシントン・ポストによれば、エチオピアのメレス・ゼナウィ首相が議会演説で、ソマリアに介入する際、イスラム武装勢力を壊滅させるという誤った政治的判断をしたと認めました。

 また、モガディシュにいる多くのビジネスマンと市民社会のリーダーが、過去2週間に、不当にアルカイダのレッテルを貼られ、自宅や事務所をエチオピア兵とソマリア兵によって略奪されたと主張しています。国際的に知られるリーダーのアブドゥカデル・ニュア(Abdulkadir Nur)は、兵士たちが事務所の備品を略奪し、同僚や親戚が理由なく逮捕されたと主張しています。

 心配していたソマリア状勢ですが、エチオピアが失敗を認識し、現場の兵士たちがすでに治安維持ではなく、不当逮捕や略奪に走っていることから、泥沼の段階に入ったと考えてよいように思われます。このように、テロリズムが不透明な形で拡散していくことにより、新しいテロの時代が興ることを恐れるべきです。

 アルカイダ対策はすでに完全な勝利を収められる段階を逃しています。アルカイダが主張するように、古いイスラム教の教義に沿った国家の建設は西欧的な価値観に合致しません。日本やその他の多くの国とも合致しません。多くのイスラム国は、他宗教の存在を寛容していますが、アルカイダはそれすら認めない国の建設を望んでいます。この点では、たとえ日本でも彼らの主張は認められません。

 しかし、その他の点、中東に対して支配的な態度をとることを止めるなどの政策は、次の米大統領政権中にやる必要があります。イラク侵攻の不当性を認め、多くの犠牲を与えた点について少なくとも遺憾の意くらいは示さなければなりません。派手なだけで効果のないイラク政策を止め、フランスやドイツが参加し得る対テロ政策へ転換するのです。そのためには、テロの原因となる貧困を駆逐していく必要もあるでしょう。戦争を防ぐ最終的な方法は軍事ではなく、経済にあります。国家戦略ではなく、世界規模の戦略(世界戦略)といったものが必要な時代になったのです。

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