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歴史街道

アルカイダがインドで活動開始か

2007.6.11



 military.comによると、インドのジャム・カシミール州の中心都市スリナガルの通信社に送られたビデオテープで、アルカイダとつながりがあると主張するグループがインドに対する聖戦を宣言しました。

 映像では自動小銃を持った男の隣に立つ覆面の男が5ページ分の声明文を読み上げました。声明では、彼らは国境を消滅させ、イスラム統治の確立を引き起こす国際的なイスラム主義運動であると説明しています。警察はこのグループとアルカイダのつながりは証明されておらず、パニックを起こす必要はないとしています。

 この警察のコメントはやや疑問で、テログループの存在を認めたくないように感じられます。テログループの声明は今回が初めてではなく、2006年7月13日にもアルカイダを名乗るグループが地元の通信社にファクシミリを送り、同月11日のムンバイで起きた連続爆弾テロ(183人死亡、約900人負傷)を称賛しています。声明はこのグループの指導者はアブ・アブドゥール・ラーマン・アンサリ(Abu Abdul Rahman Ansari)だとしています。さらに、アメリカがアフガニスタンでアルカイダを掃討してから、カシミール峡谷にアルカイダのメンバーが潜入したという報告もあります。記事によれば、インドの人口11億人の中で1億3000万人がイスラム教徒であり、浸透するための基盤もあります。今回の声明は、潜伏したアルカイダのメンバーがついに活動を始めたと受け取るべきでしょう。

 単一のイデオロギーで国際的組織が強固な連携を取れるかは、未だに実証されないテーマです。共産主義がその最初でしたが、結局は各国ごとの共産主義が確立されただけで、国家の枠組みを超えることはできませんでした。国連が世界政府になれないように、世界の人々は国家に治安の権限を求めています。アルカイダは各地域の反米イスラム主義グループの緩やかなネットワークで、従来のテロ組織とは性質が違っています。ソマリアなどに広がっているアルカイダのネットワークも、実態はほとんど分かっていません。国際組織と言っても、統一した目標に向かっていく組織ではなく、多分に地域ごとの理由が優先する変則的なテロ組織です。国家同士の軍事同盟とは見方を変える必要があります。

 アメリカはこうした動きから完全に外れてしまい、後手を取り続け、テロ組織の拡大に力を貸しています。

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