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防弾ベストの問題が再燃

2007.5.21



 長久手氏の立て篭もり事件では防弾ベストの問題が指摘されましたが、アメリカで再び防弾ベストの問題が持ち上がっています。4月20日に軍が支給する防弾ベストよりも市販品の方が優れているという記事を紹介しましたが、この論争がまだ続いているのです。military.comArmyTimesが、それぞれこれについて報じています。

 ArmyTimesによると、NBCのニュース解説者を務めているウェイン・ダウニング退役陸軍大将もドラゴン・スキンという防弾ベストが優れているとコメントしました。記事には実際に行われた実験の結果についても書かれています。

 こうした記事は日本ではガンマニア向けの雑誌でしか見られませんが、アメリカの場合、兵士が不良品で戦わせられることに対する強い嫌悪感があります。そして、その責任は軍の責任者へと向かい、常に厳しい批判へと発展します。だから、詳細に報じられるわけです。日本の場合、装備に問題があっても長いこと放置されることが多く、メディアが取り上げることもほとんどありません。ここに意識の違いを感じさせられます。

 長久手町の事件の場合、装備品よりはSATの戦術に問題があり、死者を出したと私は考えます。相手が撃ってこないことを前提として、威嚇のために小銃手を配置したため、至近距離で銃撃を受けたのです。距離が近すぎることが問題だと分かっているのなら、身を露出する小銃手は必要がなく、拳銃の方が行動しやすいはずです。防弾盾には銃眼がある製品もあり、頭部や胸部を隠しながら発砲できます。愛知県警のSATがこうした装備品を持っていなかったのは驚きです。制服警官が銃撃され、立て篭もり現場の近くで動けなくなった以上、この場合は強攻策で犯人確保と警官の救助の両方を同時に行うしかなかったと思います。しかし、警察の判断基準としては、このケースは持久策にすべきで、そのために犠牲者を増やしたのだと言えます。どんな場合でも強攻策を用いるのは賢明ではありません。しかし、今回については強攻策しかなかったと考えられます。

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