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ホワイトハウスの戦争責任者捜しは続く

2007.5.8



 アメリカが戦争責任者を決定しようとする試みが未だに続いていると、military.comが報じました。

 数ヶ月前にホワイトハウスがイラクとアフガニスタンの戦争を調整する責任者を探していると報じたのを見ていました。そして、3名の退役将軍が打診を受けたけど辞退したという話も出ていました。その後も責任者捜しは続いているけども誰も受諾していません。今後も候補者は現れないのだろうと、私は考えます。

 政権内部にも、戦争をはじめる時に責任者を決めるべきだったという意見があると、記事は書いています。しかし、こうした問答は今更という感じしかしません。もっとも、イラク侵攻をブッシュ政権が意図した時は軍から作戦の成功に関して疑問の声があがりました。このため、軍人を戦争責任者にすることに失敗し、それがずっと続く形になったのかも知れません。また、それに成功したとしても、イラク侵攻が成功したとは思えません。いまになって、責任者を決めたところで、それが戦争にどんな影響を及ぼすでしょうか。何の影響も果たせないでしょう。記事にはヘリテージ財団のジェームズ・キャラファノの「自動車に第5の車輪を付け足すようなもので、指揮系統を混乱させる」という見解が書かれていますが、まったくその通りです。戦争がうまく行かないのは戦争指導者がいないからとは思えません。根本的に戦略が誤っているからです。

 思えば、イラク侵攻は何もかもがまずい状況ではじまった戦争でした。しかし、歴史を見ると、しばしば条件の悪い戦争が大きな反対もなく始められ、大敗を喫していることが分かります。なぜ人間がそういう選択をするのかは本当に不思議ですが、現に繰り返されていることなのです。

 それから、英語の表現の問題を指摘しておきます。戦争責任者のことは英語で「War Czar」と書きます。「Czar」は「特定の事柄に関して権限を有する人」という意味で使われますが、古代ローマのシーザーに由来する、専制君主を指し、旧ロシア皇帝のことを指す言葉でもあります。読み方次第ではアルカイダの宣伝に利用されかねないので、なにか別の言葉を探した方がよい気がします。 

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