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歴史街道

米軍が新型の携帯食を開発中

2007.5.3



 military.comによると、米軍は新しい携帯食料(MRE)を開発し、試食会が行われました。

 MREは2種類あり、「First Strike Ration」と「Unitized Group Ration-Express」という名前です。

 「First Strike」は「先制攻撃」の意味ですから、直訳すると「先制攻撃食」という笑える名前になってしまいます。「腹が減っては戦はできぬ」ので、戦闘の前に飯を食ってしまうという意味に聞こえますが、簡単に食べられるという意味で名づけたのでしょう。記事中で「assault ration」という別の呼び名も紹介されています。「First Strike Ration」は3食分が1パックになっており、カロリーは従来の3,900カロリーから3,000カロリーへと落ち、従来よりもコンパクトになりました。主食はサンドイッチ型で、取り出せばすぐに食べられます。従来のMREはレトルト式でした。暖めるための道具もついていますが、冷食のままでも食べられます。メニューがシチューだとパッケージについているスプーンを使わないと食べられませんが、FSRはいつでも袋から出すだけで食べられます。

 「Unitized Group Ration-Express」は「統合型グループ用即製食」といった意味です。「First Strike」は兵士個人が携帯しますが、UGREは所属部隊の指揮所が持ち歩き、指揮下の部隊に配分するタイプの食料のようです。ひとつのカートンには18人分の食料が入っており、食料を盛りつけるトレーや食器がセットになっています。カートンから箱を出し、箱のタブを引っ張ると化学反応が始まって、4人分の温食が約35分間でできあがる仕組みです。

 いずれも試食の結果は良好だったようで、いずれ戦場で使われることになるでしょう。

 米軍のMREは非常によくできており、日本でもこのような物が作れないかと考えることがあります。もちろん日本にも非常食はあります。しかし、メニューの種類が少ないのが問題です。戦時用でなくても、地震や台風による被害が多い日本では防災用に転用できます。阪神大震災では被災中の食事が研究され、中越地震では自衛隊に非常食を納入している業者が被災し、本格的な防災食が作られるきっかけとなりました。日本の非常食の欠点はメニューが少なく、長期間では食べ飽きてしまうことです。1日に3度食べることを考えると、長期間使う場合、十種類くらいメニューが欲しいところです。阪神大震災の時は被災直後は食欲がまったく湧かなかったという人が大勢いました。健常者でこれですから、病人や老人、子供はなおさらです。そうした人でも簡単に食べられるメニューが数種類欲しいところです。太平洋戦争中、米軍の前線部隊の食事はひどく、それ以外に食べ物がないという状況でもまったく食欲が湧かないメニューだったといいます。被災直後は、被災者は強いショックを受けます。近所で負傷者が出れば救助活動に行き、怪我をした人は病院に収容されます。それが終わると一時的にすることがなくなり、ただ状勢が明らかになるのを待つだけになります。家族が入院した人は、付き添いの作業に追われるでしょう。そういう時にどんな食事を提供すべきかを考えておく必要があると思います。

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