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歴史街道

ソマリアの内戦化は決定的

2007.4.2



 ワシントン・ポストによれば、先週木曜日からソマリアの首都モガディシュで最大規模の戦闘がはじまり、正確な数は分かっていませんが、病院に迫撃砲弾が命中して多数の市民が死傷したと考えられています。エチオピア軍が応戦しており、武装勢力200人以上を殺害したと発表しました。国際赤十字社は数ダース分の市民が死亡し、220人以上が負傷したとしています。

 この記事からは戦闘の様子はよく分かりません。エチオピア軍は武装勢力を撃退したのでしょうか? 迫撃砲の支援を受けて200人を越える兵士が攻撃をかけたのなら、かなり大規模な攻撃であったということになります。この戦闘は「迫撃砲の支援を受けた数個中隊規模以上の部隊が市街戦を行った」と言いかえることができます。これはかなり負荷の高い戦闘だと言えます。武装勢力の狙いは首都を奪回するのではなく、まずは政府軍やその同盟に打撃を与えるといったところと想像できます。

 攻撃の規模からして、エチオピア軍にも相当な被害が出ていると想像できますが、それは明らかではありません。記事にはエチオピア軍のヘリコプター1機が撃墜されたと書いてありますが、それ以上の被害は書かれていません。ワシントン・ポストがエチオピア軍に損害を問い合わせないわけはなく、エチオピア軍が答えていないのではないかと想像します。全体として不自然な印象が残る記事です。現場の様子がストレートに報じられる体制にはなっていないのでしょう。

 こうした大規模な攻撃に対抗することは可能です。米軍がガンシップでエチオピア軍を支援すれば形勢は一気に逆転するでしょう。2003年にバグダッドが陥落した直後、武装勢力は数百人規模で米軍と交戦したものですが、いずれも優勢な航空支援によって撃退されました。同じように、ソマリアでも航空支援によって攻撃を撃退できます。問題は、その後の展開もイラクと同じになると予想できることです。数百人での攻撃がうまく行かないと知ったイラクの武装勢力やアルカイダは、正面攻撃を避け、小規模部隊による奇襲やIEDに切り替えました。ソマリアもやがて同じような状況になるでしょう。こうした戦いのパターンは植民地独立戦争の中でも見られており、それが繰り返されているだけです。現代のテロ戦争を考えたければ、インドなどの植民地独立戦争を調べてみるとよいのです。

 日本のマスコミがソマリアの問題を認識し、なにかが起きると報じるようになるまでに1ヶ月から数ヶ月はかかると思います。その時には事態は確定的になっており、すでに情報としても古いものになってしまいます。

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