米軍が化学爆弾工場を摘発

2007.2.23



 昨日心配だと書いた化学物質によるテロ攻撃が計画されていた懸念が強まりました。military.comによると、米軍がファルージャ近郊の自動車爆弾の製造所を捜索したところ、その材料が見つかったということです。

 米軍報道官コールドウェル少将は、ここ半年でイラク人からもたらされるテロ情報は2倍になっており、それらの中にこの情報があったということです。製造所からは、化学物質を含む軍需品、65個のプロパンガスのタンクとあらゆる種類の化学物質を積んだ組み立て中の自動車爆弾3両が発見されました。米軍はこれらが、プロパンガスと化学物質を同時に爆発させるテロに使われる危険性があったと見ています。

 この報道を見て、感心するのは早いと言えます。要するに、最大半年前に入手していた情報が有効活用できておらず、実際に数件の事件が起きてから見直され、捜索が行われたということと見るべきです。これはいつものことで、同時多発テロでも兆候をつかんでいながら、テロを防ぐことはできませんでした。実際、テロ情報は常に政府はつかんでいます。公表されるのはそれらの一部で、ほとんどは切り捨てられていると言います。しかし、切り捨てた中に本当のテロ情報が含まれていることもあります。そこが難しいのです。

 私たちはテロ情報はテロ組織の内部から漏れてくるものというイメージを抱いていますが、一般情報から分かる場合が少なくありません。たとえば、ブッシュ元大統領(父親の方)をサダム・フセインが暗殺しようとしたことがありました。元大統領が中東を訪問した時に実行する予定でしたが、地元の警察が気がついて暗殺者を逮捕しました。このことは地元の新聞に掲載され、それがCIAのアナリストの手で翻訳され、要旨が電子メールで政府関係者に一斉配信されました。ところが、この件に気がついたのはクリントン大統領の安全保障担当特別補佐官だけで、彼が騒ぎ出して現地に捜査官が派遣され、事実関係が確認されたという次第です。現地では誰でも知っていることなのに、ワシントンでは特別な意味を帯びてしまうのが情報のおかしなところです。

 私たち一般人は機密情報には触れられません。一般情報から状勢を推し量る能力を蓄え、賢明な判断をくだすようにするしか生きる道はないのです。

 
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