マケイン議員「テト攻勢が心配」

2007.2.14



 military.comによれば、ジョン・マケイン上院議員が「イラクでのテト攻勢を心配している」と語りました。

 これはイラク駐留米軍が武装勢力の攻撃の前に敗北するということではありません。テト攻勢とは、ベトナムの旧正月(テロ)の休戦中だった 1968年1月30日、北ベトナム軍が行った大規模な攻撃です。軍事的には損害が大きく、成果もなかったために失敗とみなされています。しかし、アメリカではこの構成をきっかけに世論がベトナム戦争に反対の方向へ向かいました。

 マケイン議員がこのテト攻勢にイラク状勢を比したということは、政治的にイラク侵攻が失敗することを懸念しているということです。しかし、すでに政治的にはイラク侵攻は失敗しています。米国民の大多数、最新の世論調査では62%がイラク政策に反対していると記事に書かれています。この数字が今後も増えることは明らかで、それを心配しても意味はないと思います。

 どうも、アメリカの政治家は国内向けの説明に終始し、世界の状況を正しく言い表せていないように思います。これは民主党の議員も同じです。アメリカは国内的には安定しすぎていて、中東のように国内に常に不安分子を抱える国の動きを国民が理解できず、国民が分かる言葉で話すことを強いられる政治家が適切な論評をできないようにしているように思われます。

 そんな中、今度はイランのイラクへの関与を否定する声が聞こえてきました。発信元は統合参謀本部議長ピーター・ペース大将です。トニー・スノー大統領報道官がイラクの関与を確信すると記者会見で述べたすぐあとにこうした意見が出たことは驚きです。military.comによれば、ペース大将は「イランで製造された兵器がイラクで使われていることは確かだが、イラン政府が関与しているとは言えない」と述べました。内容、タイミング共にペース大将がワシントンに対して不信感を抱いていることを思わせる発言です。サドル師がイランに入国したという情報がABCニュースから報じられており、ペース大将の発言の意図が気になるところです。

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