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嘉手納基地のF-15に亀裂が見つかる

2007.12.7



 military.comによると、先月起きた墜落事故の調査中、沖縄の嘉手納基地に配備されているF-15、2機から、キャノピーの近くにあるアッパー・ロンゲロン(the upper longerons)に再び亀裂が見つかりました。

 先月2日、ミズーリ州の空軍基地に所属するF-15Cが空中分解し、パイロットが負傷した事件がありました。このため、緊急性を有しないF-15は飛行禁止となり、調査が行われていました。しかし、28日に再び亀裂が見つかり、F-15Eを除くF-15が飛行禁止となっていましたが、再び同じ措置が延長されることになりました。

 ロンゲロンは航空機の前後方向に伸びる補強材で、縦通材と呼ばれています。キャノピーの近くにあるロンゲロンに亀裂があったということは、機体がキャノピー付近で破壊される危険があったということです。コックピットはさらに強力な部材で守られているので、いきなりパイロットが空中に投げ出されるような恐れは小さいでしょうが、何が起きるかは分からないのが現実であり、問題は解決されなければなりません。

 嘉手納基地には30機のF-15が配備されており、異常が見つかったのは2機のみです。F-15の飛行禁止が解除されるには再びハードルがあがったことになります。記事によれば、航空自衛隊もF-15を飛行禁止にして約200機を調査しており、異常は見つかっていません。航空自衛隊が保有するのは、F-15Cの日本型であるF-15Jが165機と、F-15Dの日本型であるF-15DJが48機で、F-15Eは持っていないために問題に直撃されています。航空自衛隊のF-15は同じ設計とはいえ、三菱重工がライセンス生産したものです。製造方法の違いにより、日本のF-15には問題が起こらないということもあり得ますが、
可能性は低いと見るべきでしょう。

 軍事マニアたちは早速、金属疲労などによる問題であり、構造的な欠陥ではないなどと言っているようですが、これは理屈に溺れた考え方というものです。大体、軍事マニアは理屈に依存しすぎ、その理屈は軍事雑誌の受け売りに一般常識を付け足しただけの疑似科学的な代物に過ぎない傾向があります。物事はそう単純ではないことを肝に銘じるべきです。

 報道されるのは軍が持っている情報のほんの一部であることを忘れてはなりません。報道された内容だけから部外者が構造上の問題はないと断定することはできません。機体が金属疲労で破損するのなら、それは構造的な欠陥とみなければなりません。史上初めて民間旅客機が金属疲労で墜落する事件が起きた時、それは構造的な欠陥とみなされたものです。予定される飛行時間の最中に、機体に亀裂が入るのは欠陥以外の何者でもありません。飛行中に強い圧力が常時加わる航空機の場合、小さな問題が重大事故を招くのが常識とされています。よって、これは重大な欠陥である可能性があるのです。

 また、米空軍がF-15Eを早々に問題なしと結論し、飛行禁止にしていない点に注意すべきです。F-15Eは機体構造の60%を再設計しており、それ故に、亀裂が入るような事態はないと断定できた可能性があります。従って、F-15Cと同じ設計のF-15J、F-15Dと同じ設計のF-15DJの機体に問題がある可能性はむしろ高いと見るべきです。特に古い設計の航空機には、開発時には見つけられなかった問題を抱えている危険が十分にあります。また、配線ミスのような問題と違い、亀裂のような問題は発見しにくい点にも注意が必要です。軍が問題なしと判断した場合でも、その後に同じ問題が起きる危険性は念頭に置くべきです。

 まずは、軍の調査結果が出るのを待つことです。それまでは、事態を冷静に見守るべきです。


今回初めての試みとして、アンケート調査システムを利用し、当サイトで紹介している「TacOps」を教材にした、戦術問題を出してみました。ある突破作戦に最適の突破ルートを考えてみて下さい。(問題はこちら

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