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イラクで軍需品ベースのIEDが急減

2007.11.26



 military.comによると、イラクで使われているIEDが改造した砲弾から自家製へと変わりつつあります。フセイン政権下で備蓄されてきた軍の砲弾が遂に品切れになり、武装勢力は自前で爆弾を作るようになり始めたのです。

 こうした砲弾は、米軍やイラク軍の捜索でこれまでかなりの数が発見されています。一度に大量の砲弾が発見されるのも珍しくありません。武装勢力は、こうした隠し場所から使う分だけを取り出して、IEDを製造していました。いずれ、こうした砲弾は枯渇することは明らかだったのですが、ようやくそのレベルに達したようです。

 この報道は重要です。通常、砲弾は頑丈な容器にTNT火薬が密閉されており、強力な爆発力を生むように作られています。これが自家製になることで、爆発力がどうなるかが問題です。米軍は、152mmと130mmの砲弾とRPGが完全に枯渇したと言っています。150mm級の砲弾を3個連結したIEDはM1戦車をも完全に破壊します。こうした戦果が今後は期待できなくなるのか否かを考える必要があります。記事には、自家製爆弾は軍需品を基盤とした爆弾よりも威力はないと書かれています。一例として、ガス容器に変装した2リットルのソーダ水のボトルに爆発物を詰めた爆弾が紹介されています。爆発物の主な原料は農薬だとのことです。農薬は大量に使わないと威力を高めるのは難しいので、車両を狙うIEDには不向きです。

 しかし、自己鍛造弾頭(EFP)ならば、軍需品ベースのIEDと同じ威力を持つということも記事には指摘されています。これまで、EFPへの移行が進んでいるという記事は繰り返し報じられています。イランの支援を受けているシーア派がEFPを使っていることは明らかになっていますが、スンニ派がこのノウハウを得ているのかは不明です。両派がEFPを使うようになると、IEDが減った利点はほとんど無意味になることになります。EFPは身近な材料から製造でき、重量も軽いので、テロにはより向いています。こうした点に、今後注意していく必要があります。


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