トルコ軍のPKK攻撃は11月5日以降か

2007.10.27
2007.10.28追加



 ワシントン・ポストによれば、トルコ軍は国境付近に10万人を展開し、3,000人のPKKの掃討を続けています。

 トルコ軍筋によれば、シルコスキー・ヘリコプター10機が兵士や武器をハッカリ州(Hakkari province)のヨセコヴァ(Yusekova)からダグリカ(Daglica)へ運んでおり、さらにシルナク州へも運ばれ、この二州に集中されています。ダグリカは先日、トルコ兵12人がPKKゲリラに殺害された場所です。理由がはっきりとは分かりませんが、ここが戦いの重要地点になっているようです。

 別の記事によると、11月5日にエルドガン首相がワシントンを訪問し、ブッシュ大統領と会談することになりました。大規模なイラク側への越境は、この前には行われないかも知れません。この会談で大きな材料がない場合、トルコは大規模な掃討作戦に踏み切ることになります。私の実感では、この会談で大きな進展はなく、トルコ軍は大規模な越境作戦を行います。アメリカにはイラク政府に働きかけるくらいしか手がありませんし、イラク政府はクルド人地域をコントロールできないからです。そして、PKKが降伏するとは考えられません。トルコがやっているのは、自国の正当性を内外に認識させるための外交戦です。日本にもこれくらいの外交戦を展開する能力と度胸が欲しいところです。このように先を読んで手を打つのが国家戦略であり、「国際社会からの要請」を理由に自衛隊を派遣するのは大した話ではないのです。

 この記事に掲載された写真で、シルナクに150mm級の榴弾砲も配備され、砲身を高角度にあげていることが分かります。相当に遠くを砲撃していることを窺わせる姿です。(myu5さんから、榴弾砲に関してご指摘をいただきました。こちらをご覧ください。)


マップは右クリックで拡大できます。


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