ビンラディンが武装勢力に結束を指令

2007.10.24



 military.comによると、オサマ・ビンラディンが今年3番目のオーディオテープを公表し、イラク国内のスンニ派武装勢力とアルカイダ系グループのに結束を呼びかけました。記事はこのテープの真贋性をまだ調査中としていますが、別の報道では本物と確認されたとされています。

 イラク国内のスンニ派武装勢力とアルカイダ系グループは、米軍からの圧迫を受け、混乱していると記事は書いています。これはアンバル州の部族が米軍に協力するようになり、活動が停滞していることなどを意味していると考えられます。ビンラディンの下にも、こうした情報が届いており、警告を発したのでしょう。米軍の増派以降、米軍と米政府が成果として主張しているものに対する対応を取れと言っているわけです。この声明は、アルカイダ系グループからスンニ派武装勢力に連帯の呼びかけを呼び起こし、再びテロの活性化がみられる恐れがあります。私はおそらくそうなるのではないかと考えます。

 イラク北部ではトルコの掃討作戦が遂行中です。同紙によれば、トルコのイラク侵入に対して、アメリカは最大の外交努力を行っているようです。しかし、すでにトルコ軍はトルコ領内にあるPKKの拠点を排除にかかっていると考えられ、このまま行けば数日中にはイラク領内に入ると、私は予測します。この戦いで、譲歩などはありません。トルコは最近激化したPKKによるテロ攻撃を阻止するために行動を起こしました。少なくとも、山中にあるテロキャンプを一定数破壊しないと、戦いを止めることはできません。そのためには、イラク領内にあるキャンプを攻撃し、二度と使えないようにする必要があります。PKKが全員降伏しない限り、トルコに停戦するメリットはないのです。緯度は比較的高くないとはいえ、戦地は高地です。やがて、冬になれば気象条件は厳しくなります。トルコ軍としては早めに成果を出してしまいたいでしょう。一方、PKKにも降伏はあり得ないので、トルコ軍は数日中にイラク領内のPKKキャンプを攻撃することになると見積もるべきです。

 トルコのエルドアン首相が、オックスフォード大学で「数日中に期待する発展が見られないなら、われわれの置かれている状況に対処しなければならない」と述べていますが、これは一応言っているだけで、何かを期待しているとは考えられません。また、地上部隊による侵攻はせず、PKKの拠点だけを空爆するとしていますが、空爆をすれば、必ずその成果を判定する必要があります。そのためには地上部隊が必要です。破壊し損ねたものがあるなら、地上部隊が破壊することになります。こうした一時的な侵入は必ず行われます。それに、PKKの侵入ルート捜索のために地上部隊が必要です。エルドアン首相の言は、トルコの正当性を強調するための方便です。この種の作戦を、地上部隊なしで行うのは不可能です。



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