トルコ軍の車両がイラクへ向かう

2007.10.23



 military.comが、トルコ軍がイラクに通じる道に列を作っていると報じました。APテレビニュースのカメラマンが、トルコ軍の兵士と兵器を載せた50台の車両がシルナク(Sirnak)からウルデレへ(Uludere)向かうのを目撃しました。

 昨日書いたように、本格的な掃討作戦はすでに始まっています。イラクのジャラル・タラバーニ大統領は、PKKが月曜日遅くに停戦を宣言するだろうと発言しました。しかし、トルコ軍はこの停戦宣言により、掃討作戦を中止することはなく、武装勢力全員が降伏・死亡するまで続けるとしています。

 トルコ軍の作戦は、輸送ヘリコプターを使って兵士を山岳地帯に運搬し、攻撃ヘリコプターと共にPKKのキャンプを襲撃したり、山地内に潜伏する特殊部隊により砲爆撃を行い、戦闘車両が入れる場所には歩兵を進め、車両の支援によりPKKキャンプを攻撃する方法が考えられます。一方、PKKは山地内に作った移動路を使って徒歩で行動し、トルコ軍の作戦線に対してヒット・アンド・ラン攻撃を行うのです。作戦線が延びるに従ってトルコ軍の行動は難しくなります。トルコ軍も襲撃を受けた場所を中心に、PKKの山中ルートを探そうとするでしょうが、これはかなり大変な作業です。たとえ違法であっても、トルコ軍は拘束したPKK兵士を厳しく尋問・拷問して、山中ルートを聞き出そうとするでしょう。

 こうした状況は報道からも推測することができるかも知れませんから、今後の報道に注意が必要です。アメリカとイラク両政府の主張は、この場合、あてにしない方が賢明です。おそらく、トルコ軍の攻撃は、まだ報道されていないだけで、相当に進んでいます。

 テロ対策新法について、国会議員や評論家がテレビで話す機会が増えていますが、彼らの台詞はまるで子供の遊びについて語っているようなものです。トルコ軍とPKKが山中で展開する死闘こそ対テロ戦争です。彼らはそれを分かっているのだろうかと考えずにはおられません。


マップは右クリックで拡大できます。


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