米原潜が原子炉管理を怠る

2007.10.23



 military.comによれば、原潜ハンプトンが1ヶ月以上も毎日行う点検を実行せず、それを偽るために記録を改竄していたことが分かりました。

 原潜の原子炉の化学物質・放射性物質は毎日チェックされることになっています。これを怠ると推進システムに腐食を生むことがあります。今回の問題では危険はなかったものの、定期検査で問題が露見し、6人のクルーが懲罰を受けました。

 この問題を理解するには、原潜の原子炉に関する知識が必要です。原子炉が発する熱を冷却するために一次冷却水が原子炉を巡回しています。この一次冷却水には核分裂生成物は放出されないよう設計されていますが、念のために毎日放射能レベルが計測されることになっています。原子炉も冷却パイプも極めて堅牢にできており、通常は冷却水に核分裂生成物を生じることはありません。そのため、今回の事件では被害が生じなかったのです。

 駐日米大使館は、原子力潜水艦の安全性についてファクト・シートを公表しており、その中で次のように述べています。

先述のとおり、いかなる核分裂生成物も燃料から一次冷却水中には放出されない。一次冷却水中に存在する放射能の主な線源は、原子炉冷却水により運搬され、原子炉の燃料部分を通過する際に中性子によって放射化される極めて微量の腐食物である。このような放射化された腐食物からの放射能の濃度(グラム当たりのベクレルの値)は、一般的な園芸用肥料から検出される自然放射能の濃度とほぼ同じである。合衆国海軍は、いかなる予期せぬ事態が発生しても、これが検知され、迅速な対応がなされることを確保すべく、原子炉冷却水中の放射能のレベルを毎日モニターしている。

 今回の事件はこの宣言を裏切るものです。いくら高度な管理基準を設定しても、現場が慣れから来る慢心に陥るものです。今回の件で冷却パイプ内に異常が起きた場合、今後、長い期間をかけて異常が深刻化し、ある日突然、事故を生じる危険性があるのです。


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