ハディーサ事件で起訴されるのは2名だけ

2007.10.22



 military.comによれば、ハディーサ事件は2人だけが起訴されることに落着したようです。事件を起こした部隊が所属する第1海兵連隊の指揮官ジェフリー・R・チェサーニ中佐(Lt. Col. Jeffrey R. Chessani・事件当時は大隊指揮官)が、事件を適切に処理しなかった件で職務怠慢と命令違反に、スティーブン・B・テータム兵長(Lance Cpl. Stephen B. Tatum)が故殺罪、無謀な交戦、加重暴行に問われました。

 同紙によれば、チェサーニ中佐はイラクで軍法会議にかけられる二番目の連隊長で、最大で禁固3年の処罰を受ける可能性があります。しかし、テータム兵長が軍事法廷に起訴されるとは理解しにくいものがあります。彼は2人を殺害しました。起訴されなかったサニック・P・デラ・クルーズ軍曹は、通りかかった車を銃撃し、車に乗っていた無関係のイラク人5人を殺害しています。ジャスティン・L・ シャラット兵長は3人を殺害しています。2人しか殺していないテータム兵長が起訴されるのは、彼が置かれた状況に関係があるのでしょうが、それにしても露骨な感じがします。どうせチェサーニ中佐は大した罪にはならないでしょうし、無罪の可能性もあります。テータム兵長もそれほど重たい罪にはならないでしょう。もともと、この事件は兵士たちが事件を隠蔽しようとして、室内で殺害した被害者を戸外に放置して武装勢力の仕業に見せかけたことが問題とされました。軍は犯罪調査部を派遣して、現場での鑑識を行ったのですが、その結論がまったく反映されいてません。

 もう一件。日本でも報じられていますが、B-52が誤って核爆弾を搭載したまま飛行した事件で、70人の空軍兵士が処罰されたと同紙が報じました。しかし、事件が起きた原因には驚かされます。クルーが複雑なスケジュールに従わず、自己流のやり方で作業をしたために事故が起きたのです。日本の核燃料施設での臨界事故と性質は違いますが、共通点を感じます。考えてみると、核兵器の事故は「まさか」というような場面で起きてきました。今後、こうした不注意から核事故が起こる可能性を考えた方がよいのかもしれません。
 


ミニ・アンケート実施中

無料アクセス解析

Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.