久間防衛大臣の記者会見

2007.1.30



 26日の久間章生防衛大臣の定例記者会見を見ると、久間大臣に対するイメージがさらによくなりました。防衛庁のホームページに載った会見要旨から関連する部分を見てみましょう。

Q: 閣議が終わってから麻生大臣とお2人残っておられましたが。

A: 私の発言と麻生さんの発言が食い違ってもいけないので、色々な話をしておきました。

Q: 昨日、本会議前にもブッシュ大統領のイラク開戦の判断が間違っていたという・・・。

A: 間違っていたというのではなくて、当時の感想を述べたのですが、24日の日本記者クラブでの講演の質疑応答の中でのことですが、「間違っていた」というのではなくて、「もうちょっと慎重だったらどうだったんだろう」とあの当時思ったことを言ったのですけど、日本語と英語の違いかもしれませんが、過去形ではなくてそれが非常に強く伝わってしまったかなと思います。今後はあまり昔のことは言わないことにしました。

 どうやら、外務大臣となにやら問答があった模様です。何を話したのかが気になりますが、久間大臣の発言に誤りはありません。いまや誰もがイラク侵攻は誤りだったと考えているのです。立場上、久間大臣はそこまでは言えないから、形を変えて述べたのだと考えます。

Q: 昨夜ですが、北朝鮮の金総書記が・・・。

A: ニュースがおかしいのではないでしょうか。ニュースがあったからといって、それを前提にものを喋るというのはよくないと思います。やはり、立場上もそうですが、立場がないとしても私的にも、そのニュースがあったからといって、「本当かな」とまず疑ってみるのが大事なのです。この前、無罪判決があった事についても言ったのですが、皆、県警本部長だけ写していますが、ああいうものはチェックする所は裁判官も含めて、全て「本当かな。」と疑ってみれば、有罪判決をすることにはならないのではないかと思います。だから、昨日のニュースを聞いた時も、それはどうかなという事をまず言いました。

 記者が金正日がどうしたと言いたくて、久間大臣がどう解釈したのかは、この記録からは分かりません。死亡説でも流れたのでしょうか。多分、記者は具体的なことを述べているのに、外交上の問題になる可能性を考えて防衛庁が削除したのかも知れませんが、そうだとすればやりすぎです。ホワイトハウスの記者会見の記録は録音したものをそのままテキスト化しており、笑い声が起こった場所まで書き込まれています。

 それはともかく、久間大臣が冤罪事件を例に挙げて説明した点、(私的な立場だとしても)ニュースは疑ってみるのが大事と述べた点など、日本の政治家としては珍しい発言です。久間大臣は冤罪事件については裁判所も同罪だと言っており、核武装発言のような大向こうの受けを狙った発言ではありません。

 久間大臣の発言はワシントン・ポスト(記事1記事2)も報じていますが、事実関係を客観的に述べ、柳沢厚生労働大臣の「女性は子供を産む機械(birth-giving machines)」発言と共に、安倍政権の支持率低下と関連づけているだけで、ホワイトハウスが問題視しているという記述はありません。逆に塩崎官房長官が、アメリカから発言に関する問い合わせはあったが、いかなる非難もなかったと述べたことが書かれています。これを日本のメディアは、日米外交をこじらせる恐れがあると報じられたのです。まったく馬鹿げた話です。イラク侵攻はヨーロッパ諸国の国家元首からも批判されています。国務大臣の発言に一々反応していたら、逆に焦っているように見えるでしょう。

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