「夏の終わり」までに撤退開始?

2007.1.20



 military.comによれば、イラク増派はまだほとんどは最初の増援部隊第82空挺師団の1個旅団がバグダッドに到着したばかりなのに、イラク駐留米軍司令ジョージ・ケーシー大将(Gen. George Casey)は夏の終わりまでには退却を始められるだろうと述べました。

 第二次世界大戦の頃から、軍人の終戦時期の予想は外れるものと相場が決まっており、「クリスマスまでには終わる」といったセリフが正しかった試しはないといわれるほどです。イラク侵攻でも、これまで何度も軍高官が「いつまでには終わる」と述べ、予測を外してきました。ケーシー大将も例外ではありません。だから、「またか」と「今度は何を理由にあげるのか」という疑問しか浮かんできません。

 案の定、ケーシー大将は理由らしい理由を示していません。「この先60日から90日で、徐々に進歩するのをみることになる」と述べた程度で、なぜ治安が急に回復するのかは説明できませんでした。どうせ3月には彼は参謀本部へ転出しますから、「夏の終わり」には自分はイラクにいないのです。

 アメリカがイラクに治安責任を強く求めたため、今後はマリキ政権とアメリカの確執が強まります。マリキ首相はアメリカがくれる武器が足りないと文句を言い始めました。しかし、アメリカが与えた武器の一部が横流しされることもあり、これは焼け石に水です。そして、マリキ政権の成立の陰にはシーア派指導者の後押しがあったといわれます。マリキ政権がシーア派過激主義者たちの抵抗を完全に奪うことは不可能で、その前に彼が暗殺されると考えるべきです。この状況で夏の終わりに問題が解決するなどとは考えるべきではありません。もはや説明するまでもなく、イラク増派が失敗するのは目に見えているのです。

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