第2の核実験が準備中の根拠

2007.1.8



 北朝鮮が第2の核実験を行うという報道がありましたが、Space War Expressがその内容を報じました。

 昨年10月に北朝鮮が核実験を行った咸鏡北道吉州郡豊渓里(ハムギョンブクト、キルジュグン、プンゲリ)にあるトンネルの西側で中身を特定できない物体と15人の人間が確認されました。おそらくは、偵察衛星が撮影した写真によって確認されたのでしょう。これが北朝鮮が核実験のために必要な物資をトンネル内に運び込んでいる様子だと解釈されているのです。しかし、これ以外の兆候はまだ確認されていません。これが、北朝鮮政府内部から情報が漏れるとか、北朝鮮がテレビニュースで実験を行うと発表するとか、実験に関連する無線交信が傍受されると言った確認は取れていないという意味だと考えられます。そのため、実験が間近に行われる証拠はないと発表されているのです。しかし、近い将来に行われるのは間違いないでしょう。

 昨年、ミサイル実験に関して情報交換をさせてもらったチャールズ・P・ビック氏からは、核実験に関する未発表のレポートも見せてもらっており、詳しくは書けませんが、ビック氏は北朝鮮の核爆弾がかなりのレベルに達していると判断しています。爆発力が小さかったことについても、ビック氏は広く言われている失敗説とは別の解釈をしています。また、今日のニュース番組で、北朝鮮の国営テレビの新年の挨拶が、核開発から国民の生活の向上に力を移行するというものだったと報じていました。昨年も書きましたが、北朝鮮は核開発をはやく一段落させて、国民生活の改善を行うつもりなのだと考えられます。私は、北朝鮮の核開発はそういう段階まで進んだのだと解釈しています。

 しかし、そうだとしても、石破茂氏のように「北朝鮮が朝鮮半島内で核爆弾を爆発させるわけはないし、アメリカにはミサイルが届かないのだから、北朝鮮の核は日本を狙っている」といった誤った判断をすべきではありません。また、米軍が北朝鮮に乗り込めば、大量にいる特殊部隊により反撃され、イラクと同じ状況になるといった誤った予測をすべきでもありません。その理由を説明するには、かなりの分量を書く必要があります。今は、ビック氏が「北朝鮮に向けられる報復力を考慮すると、韓国や日本が核攻撃を受ける可能性は非常に小さい」と主張していることだけ書いておきます。

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