ソマリアを安定化する戦略を急げ

2006.12.30



 BBCによれば、ソマリア人の大半はエチオピア軍を歓迎しており、当初起こった反対のデモは収まったようです。気になるのはキスマユへ逃げたイスラム法廷会議がどのような状況かということです。彼らは、ソマリアを去るつもりはありません。

 昨日の段階では半信半疑だったのですが、エチオピア軍はキスマユ方面へは兵を出していないようです。兵の余裕がないのかも知れませんが、常識的な戦術の考え方から言えば、二つある川に沿って同時に進撃することで、敵の退路を断つべきです。キスマユも敵の手に落ちると分かれば、彼らはモガディシュから船で脱出しようとするでしょう。うまくすれば、一部を洋上で捕らえることができたかも知れません。

 エチオピア政府の発表では、イスラム法廷会議は2,000〜3,000人の死者、4,000〜5,000人の負傷者を出したと言います。エチオピア軍の犠牲者は数百人だったということです。この数字は多少疑問はありますが、現在入手できる情報としては最善のものでしょう。

 いくつかの報道記事を読みましたが、重要なポイントがいくつか欠けています。イスラム法廷会議を今後どのように追いつめていくのかについて、何の提案も示されていません。ソマリアは洪水の影響で、多くの人が生活苦に苦しめられています。国連は職員1名と救護員14名を派遣したといいますが、今後のソマリア統治を含めた戦略が検討されているという情報はありません。ケニアのこの件に対する態度はどうなっているのでしょうか。首都陥落は、この問題の最終的な解決を意味しません。ぼんやりしていると、またイスラム過激派がつけいる隙を与えるでしょう。世界はいつもこうやって平和を手に入れるチャンスを逃しているのです。

ソマリア地図 右クリックで拡大できます。
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