ようやくハディーサ事件の起訴が決定

2006.12.22
14時追加



 military.comによると、ハディーサ事件の軍事裁判が始まります。もう忘れられかけていた事件ですが、2005年11月19日、ハディーサでイラク人24名が海兵隊員によって殺害された事件です。海兵隊は、民間人は路傍爆弾で殺され、海兵隊員が殺したのは武装勢力だと報告していましたが、路傍爆弾で味方が殺されたことに怒った海兵隊員が報復を行ったと認定されたのです。私は8月20日に、この事件は不起訴になる見込みだと書いていました。

 第1海兵連隊第3大隊K中隊の分隊長フランク・D・ ウートリッチ二等軍曹は、自分自身が行った12件の殺人、部下に命令した6件の殺人、伍長に対して偽証するよう要請し、二等軍曹に虚偽の報告を行うよう依頼した証拠隠滅でも起訴されました。他に8人の海兵隊員が起訴される見込みです。

 これまで報道されていなかった新事実が報じられました。ウートリッチ二等軍曹が部下に「撃ってから尋問しろ」と命じていたことです。「尋問しろ」はほとんど意味のない言葉で、要するに「殺せ」という命令です。これまでこの事件は、路傍爆弾による攻撃で混乱した海兵隊員が市街戦の混乱の中に置かれ、誤って民間人を殺害したとみなされてきました。しかし、海兵隊員達が誤りに気がついてもおかしくないほど長く殺人を続けたことは疑問として残っていました。想像ですが、CIDが散々現場検証を終えたあとでも、軍の反応は鈍かったので、物証では十分に容疑を立証できなかったのではないかと思います。容疑者の誰かがウートリッチの命令に関する重大な証言を行い、それが起訴につながったのではないでしょうか。

 ABCニュースによれば、被告はいずれも「他人に危害を加える恐れはない」として拘束されていないとのことです。彼らの罪状は「計画的な殺人」よりも罪がより軽い「非計画的な殺人」なのです。military.comの記事には、ハディーサに住むあるイラク人の言葉が引用されていました。「奴らをイスラムの法廷に連れてこい」。

 また、military.comは米国内で軍人の人気が落ちているらしい事件を伝えています。オンライン・ショップの「オリエンタル・トレーディング」は、兵士が乗ったハンヴィーを模したピニャータの販売を中止しました。同社はその理由を「深刻な大衆の抗議」によるとしており、「この商品に対して否定的な反応を受け取ったので、その結果としてすでに販売を中止しました」と述べています。もともと、この商品は軍人の顧客を当て込んで企画されました。ピニャータはクリスマスで使われるプレゼント品で、厚紙で作った人形に玩具やお菓子を詰め込んで高い場所に吊し、子供達がそれを棒で叩いて、落ちてきたプレゼントを奪い合うというゲームに使われます。ハンヴィーのピニャータがここまで不人気だということは、すでに米国内にベトナム症候群が再燃していることの表れだと考えられます。それには、ハディーサ事件などの虐殺事件が大いに関係しているに違いありません。(商品の写真が記事に掲載されています)

 上の見解について、私の読み違いであることに気がつきました。このピニャータに対する反感は、米兵に対する嫌悪感ではなく、IED攻撃で犠牲になる米兵を連想させるということだと記事に書かれていることに気がつきました。いずれにしても愉快な話ではないのですが、原文はそのまま掲載し、この追加分で訂正することにします。

 さらに追加します。ワシントン・ポストは、今回起訴されたのは現場にいた海兵隊員4名と上官の将校4名で、最も重たい刑でも終身刑であり、死刑は含まれていません。ウートリッヒ以外の罪状は次のとおりです。死刑が適用されないのは、犯罪が非計画的な殺人だからです。(この段落、15時に修正)

ジャスティン・L・ シャラット兵長(22) 9mmピストルで男性3名を殺害。
サニック・P・デラ・クルーズ軍曹(24) 通りかかった車を止め、男性5名を殺害。その場にいた兵士が彼が弾倉が空になるまで被害者に銃撃を加えるのを目撃。
スティーブン・B・ テータム上等兵(25) 2名を殺害。


 彼らやこれから起訴される被告たちの裁判は、交戦規定に関する解釈が主要なテーマになるようです。被告たちは、軍の規則に従ったと主張しており、検察官は十分に注意が払える状況だったと主張する見込みです。

 将校の罪状は次のとおりです。彼らの名前は初期の段階からあがっており、私は6月12日にJ-RCOMに投稿していました。

ジェフリー・R・チェサーニ中佐(42) 大隊指揮官。命令違反で最大2年の禁固。それぞれ禁固半年の職務怠慢が2件。
ルーカス・M・マコーネル大尉(31) 中隊指揮官。職務怠慢2件。
ランディ・W・ストーン大尉(34) 大隊の法務官。命令違反1件。職務怠慢2件。
アンドリュー・G・グレーソン中尉(25) 情報将校。職務怠慢2件。虚偽の報告書の作成1件。司法妨害1件。
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