難航もイラク増派は決定的の模様

2006.12.21



 military.comによると、ブッシュ大統領に増派を命じられたゲーツ国防長官は、イラクに飛び、ジョン・アビザイド大将、ジョージ・ケーシー大将、レイ・オダイアノ中将らと会談をしましたが、増派には難色を示された模様です。

 アビザイドとケーシーは、過去に大勢の米兵をイラクへ派遣したことの疑問を提示し、数人の軍高官は、短期間の増派は一時的な休息にしかならないかも知れないと述べました。アビザイド大将は「私がこのアイデアに反対する必要はないが、我々の戦略目標を前進させるのを助けている米兵を、いつ、なぜ、さらに送るのかを知りたい」と言い、ケーシー大将は「すべての選択肢はテーブルの上にある」と言いました。

 そのアビザイド大将は、来年早々に退役することになりました。military.comによると、彼は2003年7月以来、中央軍司令官を務めていました。これで関係者がまた一人消えることになります。

 military.comに掲載されたゲーツ長官の就任挨拶は型どおりの内容で、彼がおそらく、大統領の命令通りに行動しようとすることを暗示しています。彼は常識を踏まえた人物で、それは好感が持てますが、戦争という非常時にそれが良い方向へ作用するとは限りません。

 ワシントン・ポストによると、ブッシュ大統領は年末記者会見を行い、今年一年を総括しました。その中で、昨日レポートした陸軍と海兵隊の人員増加を永続的な増員とする方向に動いていることが明らかにされました。また、短期間、イラクに増派することはまだ決定を下していないとも語りました。同紙のインタビューで、「イラクでは勝っていない」という見解に同意していたのに、この記者会見では「イラクでの勝利は可能だ」「米軍は最後には勝つ」と述べました。他にも色々言っていますが、特に取りあげるような内容ではないので、これくらいにします。それにしても、この人はまずい決断を下すと、人々が驚いたり感心するとでも思っているのだろうかと疑います。奇跡が起きて、増派が取りやめになるのを祈るしかありません。

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