ロシアが迎撃できない新型ミサイルを開発

2006.12.15
13時追加
12.22-17時追加



 今朝、海外ニュースで、ロシアが新型ミサイルを開発し、その演習にプーチン大統領が参加したことを映像付きで報じました。このミサイルは、なんと弾頭部分にも加速用のエンジンがついており、極めて高速で落下するため、迎撃ミサイルで撃墜できないといいます。おまけに、移動式ランチャーから発射でき、射程も長いと来ています。

 とうとう、MDを打ち破る兵器が現れたようです。元防衛庁長官の石破茂氏は「MDは核廃絶につながる」と主張していますが、このようにMDよりも安価なシステムでMDを無効にする兵器が作れるものなのです。だから、核廃絶のためにMDを開発するなどという意見は肯くに値しないのです。普通、兵器が戦場から姿を消すのは、対抗措置が現れた時ではなく、もっと性能がよい別の兵器に置き換えられる時です。

 私は以前にMD計画を調べていた時、攻撃側のロケットの速度が重要な要素であることに気がつき、ここが弱点だと思っていました。現在行われている迎撃テストを見ていると、標的ロケットの速度がテストの結果に大きく影響することが分かりました。でも、この速度は非公開情報なのです。おまけに、従来言われているよりも早く弾頭を落下させられたら、これまでのテストは無意味になってしまいます。やはり、ロシアはそこに着目していたようです。そして、新しい抑止力を手に入れたことを公表するために、大統領列席の演習を公開したのです。タイミングとしても、アメリカがイラク問題でもがいている最中で、演出効果としても最良です。おまけに、テロとの戦いのために、ロシアは味方だと言い続けていたアメリカには、露骨に批判もできないでしょう。これも、ブッシュの失政が招いた過ちです。

 アメリカのMD関係者は、この演習で大打撃を受けたでしょう。議会でMDの開発を中止せよとの声があがるのが必至で、それをどう食い止めるかの攻防が繰りひろげられることでしょう。いや、北朝鮮がこの技術を真似した時のことを考えておくべきかも知れません。北朝鮮は小型の個体式エンジンは製造できるようですから、実現はさほど難しくないでしょう。


 少し追加します。新型ミサイルは既存のトポルM(Topol-M)の改良型のようです。この新型ミサイルについて、ワシントン・ポストは次のように報じています。射程は6,000マイル(9,656km)以上。サージ・イワノフ国防相によれば、戦略ミサイル軍は2015年までにトポルMは69基取得する予定です。主任設計者のユーリー・ソロモノフは、今年初めに、このミサイルは初期のデザインよりも相当に低い高度でエンジンを落下させるので、早期警戒システムでは発射を探知するのが難しいと述べていました。

 しかし、globalsecurity.orgの説明では、トポルMは当初からエンジンの燃焼時間が短く、警戒衛星で発射を探知するのが難しいといいます。また、2004年に移動型トポルMの発射テストを行う予定だったようで、テストは丸2年遅れたことになります。

 弾頭にエンジンを積んでいる話はどちらのソースにも載っていませんでした。まさか、同時通訳の誤訳かと思ってしまいます。もう少し情報を探してみます。

 この記事に関して、泥さんから貴重な情報を頂きました。彼の投稿リンク先の記事をご参照ください。

Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.