シミュレーション・ゲーム「TacOps4」について

2006.11.30



 最近、ウォーゲーム「TacOps4」を見直しています。何年も前に入手しながら、ほとんど使っていなかったのですが、マニュアルをよく読んでみると、実によくできたシミュレーションです。

 「TacOps4」は米海兵隊の退役少佐が製作した戦術級のシミュレーションで、BattleFront社から発売されています。プレイヤーは大隊から連隊規模の部隊指揮官として、対抗軍と地上戦闘を戦います。2000年時点での装備品を基本に、過去や近未来までの武器のデータが用意されています。空挺部隊や水陸両用部隊もあり、空挺作戦や上陸作戦もプレイできます。

 「TacOps4」は、コンピュータの利点を活用し、ボードゲームには難しい複雑なルールを無理なく実現しています。ボードゲームには便宜上さまざまな抽象的な概念が用いられており、一般の人には分かりにくいものになっています。「TacOps4」は多くの部分が直接的に表現されています。たとえば、ボードゲームでは六角形の升目が用いられますが、「TacOps4」はメートル法で位置を表します。特に、部隊の移動を秘匿でき、実戦に近い状態を体験できるところが素晴らしいと感じます。「TacOps4」はウォーゲームの愛好家だけではなく、むしろ将校教育向けのツールです。現に、アメリカではそのように使われており、マニュアルにはその方法も記されています。

 しかし、これを軍事知識を学ぶためにも活用できると私は考えます。というのは、ある軍事作戦が成功する可能性を、誰にでも分かるように説明するのは難しいのですが、こうしたシミュレーションを経験した人には理解できるのです。連隊規模の作戦を読めるなら、軍事問題のかなりの部分を理解できるようになるはずです。ゲームが極力抽象的表現を避けていることも、学習のために重要です。これを日本に普及して、軍事知識を広めることは、平和の追求のために大いに役立つことでしょう。また、陸上自衛隊の教育でも使えるでしょう。ダウンロード版は安価な25ドルで、クレジットカードで支払えます。

 現在、「TacOps4」のマニュアルの日本語化を少しずつ進めています。完成がいつになるかは分かりません。画面は英語になりますが、マニュアルが日本語なら、ほとんどの人が支障なくプレイできるはずです。関心がある方はご連絡ください。

「TacOps4」の画面

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