イラク 石油施設が攻撃で炎上

2006.11.28



 military.comによると、イラク北部にある石油施設が迫撃砲による夜襲を受け、大きな火災を引き起こしました。詳しい情報はまだありませんが、タンクから石油が流出して燃えたようです。また、敵対行為かどうかは分かりませんが、27日午後1時35分にバグダッドを離陸してアンバル州へ向かったF-16CGが墜落しました。カーマ(Karmah)の近くに住むモハメッド・アル・オベイディは、ジェット機が不規則に上下に動いてから急降下して農地で爆発したのを目撃しました。その後、米軍機がやってきて、墜落地点の上空を旋回していたとのことです。カーマの正確な位置は分かりませんが、墜落地点はバグダッドから20マイルということなので、ファルージャ(Fallujah)よりもバグダッド寄りの場所のようです。目下、原因やパイロットの生存に関して、米軍は何の発表もしていません。アルジャジーラは残骸やもつれたパラシュート、パイロットの死体が撮影されたビデオテープを入手したと発表していますが、衝撃的すぎる内容として放送していません。しかし、パイロットが死亡した公算は極めて高いといえます。

 テロの標的が民生用インフラにも及んできました。現在、イラクは石油施設の不足により、隣国から石油を運んで使っています。そのために、大量の民間軍事会社のトラック運転手が雇用されています。石油施設を破壊すれば、イラクは採掘した石油を国内で精製するのではなく、加工済みの石油を陸路で運ばなければなりません。アメリカにはそれだけ負担を強いることができ、効果的だといえます。輸送トラックが増えたら、それを攻撃すればよいのです。

 最近になって、イラク暫定統治機構(CPA)の復興事業が汚職だらけであったことが明らかになり、アメリカでは調査が進められているといいます。莫大な予算が戦争成金たちにむしり取られ、満足な民生用インフラを作れなかったところへ、このテロ攻撃です。誰もが明言するのを恐れ、イラクがすでに内戦状態にあるとは言おうとしません。国連ですら、「イラクは内戦の一歩手前」とお茶を濁す始末です。イラク侵攻以来、国際社会というものが完全に壊れてしまったという気がします。そして、これはさらに悪い状況の入り口であることも明白です。一つだけ確かなのは、未来に明るい見通しはできないということです。超大国のリーダーシップの欠如が、現在の事態を招いたのです。日本は目先の利益だけ考え、それに追随してしまったということなのです。

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