中川政調会長に核武装論はあるか?

2006.11.24



 読売新聞によると、中川昭一政調会長は、岐阜市での講演で、「最近は、(核兵器を)作らず、持たず、持ち込ませず、言わせずの『非核四原則』と言うそうだ。私は非核三原則は認めるが、四原則は認めない」「議論もしては駄目だという人がいるのであれば、今度は五原則で『考えさせず』となることを恐れる」「日本を侵略させないために何ができるか考え、最大限努力する必要がある」などと発言しました。

 そんなに議論したいのなら、中川氏が持っている核戦略論を発表すればよいと思うのですが、彼は何も提示していません。それで議論するのだと頑張っても、何がやりたいのかまったく分かりません。どうせ、目立ちたいだけの発言で、話すべき意見など持ってはいないのです。こういう人の話を真に受ける必要はありません。政治家は大まかなことだけ決めて、あとは官僚任せという癖がついています。こんな意見を言えるのも、自分が作業しないのが分かっているからです。

 この種の「私はただ日本を守りたくて発言しているのだ」という意見は、最初から冷静な戦略論でないことが明らかです。脅威を根元に置いた国防論は危険です。脅威は他国が作り出すものですから、他国に依存する形での発想に終始する国防は実は自主性を欠くのです。国防論は、常に自らの能動的な思考によるべきです。そうしないと際限のない軍拡に走る危険があります。責任与党を自称する自民党には、肝心な哲学が未だに育っていません。

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