来年のイラク・アフガン派遣部隊が決まる

2006.11.18



 military.comによれば、ラムズフェルド国防長官は、来年早くに5個戦闘旅団を含む57,000人をイラクに派遣することを決めました。これは現在の兵力レベルを維持するための派遣で、旅団の現役兵20,000人、予備役10,000人を中心として、小部隊の現役兵27,000人が含まれます。また、1,500人の旅団戦闘団も同時期にアフガニスタンへ派遣されます。この派遣によって、141,000人のイラクの米軍兵数は同レベルに維持されます。

 派遣が決まった主な部隊
 第3歩兵師団司令部(カンザス州)
 第1歩兵師団第4旅団(ワシントン州)
 第3歩兵師団第4旅団(ジョージア州)
 第3旅団第3歩兵師団(ノース・カロライナ州)
 第173空挺団(イタリア)

 ゲーツ氏が後任の国防長官として上院の承認を受け、ベイカー委員会の勧告をブッシュ大統領が承認し、議会の方向性が定まって、実際に物事が動き出すまでに、まだ数ヶ月はかかるでしょう。

 この段階においても、まだイラクからの早期撤退は事態を悪化させるという意見があります。戦略的な視点から言えば、この見解は正しいのですが、もともとイラク侵攻自体が事態悪化そのものだったことを忘れています。だから、早期撤退も、当然、事態悪化となるのは必定なのです。現在のアメリカに「望ましい解決」というカードはないのです。事態悪化につながる早期撤退しか選択肢がないと観念するしかありません。戦争は初期段階で誤りを犯すと、取り返しがつかないことを忘れてはなりません。少なくとも、先進国の指導者たちはそれを理解していなければなりません。その根拠となる戦争の歴史はすでに行われているはずです。戦争の構造を理解して、将来の戦争の危機を回避することが、これからの国家指導者が進むべき道です。

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