米兵狙撃はアメリカの事件がヒントか

2006.11.6



 今朝のニュース・メディアはどこもサダム・フセインの死刑判決で持ちきりです。この判決はフセインを殉教者にすることでシーア派を勢いづかせ、スンニ派との対立が深まるきっかけにしかなりません。しかし、これを避けるわけにもいかず、ブッシュのイラク占領政策はさらに悪い方向へ行くでしょう。

 米兵への狙撃が増えている件で、昨日、興味深いことが報じられました。狙撃者は車の中に潜み、テールランプが壊れて開いた穴から銃口を出して狙撃している場合が多いということです。このために狙撃地点を見つけるのが難しいことが分かったため、米軍はテールランプが壊れた車を調べるようになったといいます。

 やはり、誰かが新しい戦法を編み出したのです。そして、この事件は2002年にワシントン周辺で起きた連続狙撃事件を思い出させます。この事件の犯人は、車を後部座席を外して腹這いになると、後部トランクからライフル銃を撃てるように改造していました。犯人は元陸軍兵士のジョン・アレン・ムハンマド(42)と彼の養子の少年(17)で、ムハンマドの指示で少年が狙撃をしていました。武器は軍用銃M-16の市販版「ブッシュマスター XM-15」に望遠照準器とサイレンサーをつけたもので、銃声を小さくする工夫がされていました。この方法で犯人は3週間も犯行を繰り返し、10人を殺害し、3人に重傷を負わせました。おそらく、武装勢力はこの事件を参考にしたのでしょう。

 このように武装勢力は使える手段は何でも使います。次はわざとテールランプを壊した車に爆弾を仕掛けて、調べるために近づいてきた米兵を殺す手口が使われるかも知れません。折しも、第6回国際狙撃兵大会がアメリカで開かれたという記事がarmytimes.comに載っています。競技者たちは、敵が歩兵部隊を釘付け状態にする方法を競い、遠距離から12.7mm機関銃を撃ち、訓練用の障害物を飛び越え、走り、13.6kgの砂袋を運んだあとで、正確に標的に命中させられるか。ピストル射撃。23〜26メートル上空でホバリングするブラックホーク・ヘリコプター「UH-60」の機上から標的に命中させる競技などを競いました。この大会の参加者と武装勢力の狙撃手とが競技を競っても、レベルが違いすぎて勝負にならないでしょう。しかし、それでも成果をあげるには十分なのです。ゲリラを技術の水準を根拠に力が劣るとみなすのは誤りです。

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