Military.Timesが「ラムズフェルドを罷免せよ」

2006.11.5



 有名な軍人向け新聞のThe Army Times、Air Force Times、Navy Times、Marine Corps Timesの4紙を発行するMilitary Timesが、これら4紙に「ラムズフェルドを罷免する時が来た(Time for Rumsfeld to go)」という社説を掲載しました。そして、この出来事はmilitary.comでも報道されました。

 すでに、ワシントン・ポストなどの一般紙では同種のコラムを見かけることはありました。しかも、中間選挙を目前にしたタイミングです。共和投票が多いといわれる米軍ですから、中間選挙に与える影響は小さくないでしょう。

 記事では、これまで報じられてきたことを中心にして、ラムズフェルドの問題点を批判しています。やや目新しい事実もありました。2年間、イラク軍を訓練していた米軍人は、イラク人は国家的同一性の感覚を持たず、それに従うのは金のためだけで、任務では発揮せず、彼ら自身を安定させることはできないと上官に報告していたということです。大体そんなところだろうと想像していましたが、思った通りだったという気がしました。

 社説はピュリッツァー賞受賞の戦争特派員マーガレット・ヒギンズが半世紀以上前、朝鮮戦争中に書いた言葉、「喚起され、見聞の広い世論の支持を必要とする限り…厳しく熾烈な真実を告げる必要がある」を引用し、ホワイトハウスの戦略の誤りと国民への説明不足を批判しています。「ドナルド・ラムズフェルド国防長官は、軍指導部、兵士、議会、国民に対する信頼性を著しく失った」「彼の戦略は破綻し、指導力は地に落ちた。しかし、そして我が国のイラクにおける失敗は国防長官に責任があり、その矢面に立つのは兵下たちである」とラムズフェルドを痛烈に批判し、「ドナルド・ラムズフェルドは罷免されなければならない」と締めくくっています。

 2003年にイラクに侵攻すると聞いてから、私がずっと抱き続けてきたブッシュ政権の失政が、ようやく軍人向けメディアでも一般的になったかと思うと感無量です。…ところで、過去にもこういう国防長官はいたのでしょうか?

Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.