イラク警察が暗殺事件に関与

2006.10.5

 マリキ首相の和平策に効果はないと先日書きましたが、military.comによると、それを裏づけるとんでもない事件が発覚しました。ここ最近の大量殺人事件を行った暗殺部隊(Death Squads)にイラク警察軍の旅団が協力していたというのです。このために、約700名の旅団が調査対象となりました。

 スンニ派の指導者が、シーア派で構成される警察軍が、暗殺部隊がバグダッド市内を移動するのを黙認していると指摘しました。この結果、旅団と大隊を指揮する少将が一時的な停職と転属を命じられ、部隊指揮官の中佐は捜査のために拘留され、その他の兵士はランダムに事情聴取を受けています。700人もいれば、誰かが内部告発してもよさそうなものですが、派閥の硬い結束はそれを許さないのでしょう。

 こうした事情を日本的な常識で解釈することはできません。なにより、宗教的な派閥で動く社会にアメリカ型の民主主義を持ち込むこと自体が誤りです。こうした動きは段階的に長期間かけて行う必要があり、戦後処理の枠組みの中でやろうとしてもうまくは行きません。しかし、最近ブッシュ大統領は、夫人と愛犬バーニーしか賛成する者がいなくなってもイラク戦をやり抜くと発言したといいます。無意味なイラク戦が終わる見込みはまったくありません。

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